地方から都内に出てきて、今は姉と2人暮らしをしている。
姉と言っても、双子だから同じ年齢なんだけど。
昔から厳しい両親が嫌で仕方なくて、「いい大学に行け」ってうるさいから、都内の大学を受験した。
姉も同じような理由で都内の別の大学に進学。
で、どうせ2人とも都内なんだからってことで、1LDKの部屋を借りて一緒に住むことになった。
家賃はちょっと高かったけど、1人ずつ別のところに住むよりは少し安くあがるからってことで。
僕は割と大人しいっていうか、あんまりアクティブなほうじゃない。
周りの人間に合わせてはしゃいだりするの、しんどいしさ。
でも姉は僕からアクティブさを全部吸収しちゃったんじゃないかってくらいアクティブ。
悪く言えば無鉄砲なところがあった。
大学生活にも慣れてきた頃、姉がバイトを始めるって言い出した。
僕はすでにマンションの近くのコンビニでバイトをしていたから、なんとも思わずに「頑張って」って応援したんだ。
でも、それからだんだん姉が結構稼いでくるようになった。
最初は毎月月末になるとカツカツだった仕送りの口座に、姉が少しお金を入れてくれるようになり、生活も楽になった。
僕は大学の前期の成績があまり思わしくなくて親からお叱り電話がきた。
そしたら姉が俺に言ってきたんだ。
「あんたは学校が終わったら家に帰ってゆっくりしたり、勉強したりしたらいいよ。食事とか家事とか出来る範囲でやってくれたら、私がもっと稼いでくるからさ」
ありがたくその言葉に甘えて、僕は勉強に専念することにした。
でも姉はバイトから帰ってくると、結構疲れていることが多くなった。
夜遅く帰ってきて、どっぷりと眠ってしまって、講義があるのに朝なかなか起きてくれない。
体が心配になってきて、「バイト、なんかハードなやつなのか?」って聞いても、「んー、そうでもないよ。社会人と比べたら全然楽でしょ」って笑って誤魔化される。
でもやっぱ心配で、姉がお風呂に入っている間にケータイを見てしまった。
そしたらバイト関係の人間と思われる人から、『◯日はこの住所に◯時に集合です』っていうメールを見つけた。
メールを見たことは内緒にして、その日、僕は軽く変装してその場所へ行ってみた。
早めに行ったからか姉の姿はなかったけど、なんかおじさんに声をかけられて、「あ、君も参加者だね?入って。ロッカーに下着置いてあるから、それに着替えて」って指示された。
ここまで来て「違います」とは言えない雰囲気・・・。
言われた通りにロッカーに入ると、色んな色の、面積の小さいブーメランパンツがたくさんあって、その中から一番マシな黒色のを穿いた。
でも、他に着るものはなくて、仕方なくパンツ一丁でロッカーを出た。
広い部屋だった。
カメラの機材とかがたくさんあって、そこに僕と同じくらいか、30代くらいまでの男の人が20人くらい集まっていたんじゃないかと思う。
しばらくして、「はじめまーす!」って声がかかった。
すると、際どい水着を身につけた姉がやって来た。
僕にはまだ気がついていないようで、カメラマンっぽい人に挨拶をしたりしている。
カメラが回り始めて、姉がおもむろに男のパンツに頬ずりをしたり、顔をうずめて深く臭いを嗅いでは恍惚とした表情を浮かべたりし始めた。
ゆっくりと見せつけるように下着を脱がせ、そのままフェラチオ。
順番に他の男にもフェラチオをしていって・・・僕の前に来て、いやらしくにっこり微笑んで僕を見上げて・・・硬直。
そりゃそうだ、弟がいるなんて知らなかっただろうから。
でもそこはプロの根性だろう。
硬直したのも一瞬で、すぐに僕の股間に頬を擦り寄せたり、下着越しにキスをしたり、息を吹きかけたり・・・。
(相手は姉だ、姉なんだ!)
いくらそう思っても、刺激されたら下半身は素直に大きくなってしまった。
ガチガチに勃起したところで、姉が「いい子ね・・・」ってペニスの先っぽにキスをして、また次の男へ。
順番に、そこにいた男全員に丹念にフェラチオして勃起させたあと、部屋の真ん中に姉が座った。
そして姉をぐるりと囲むように男達が移動する。
僕も、何が何やらわからないまま従った。
そして周りの男たちと同じように、姉の姿を見ながら手でペニスを扱きあげて・・・。
あとはもう、ただ射精するだけ。
「あぁ・・・イクッ!」とか言って、男たちが姉の顔にかけていくっていう流れだ。
(顔にかけるなんて・・・)
って思ったけど、これはそういう撮影らしく、みんな姉の顔にたっぷりと濃い白濁液をぶちまけていく。
姉は目を瞑って、熱い精液を顔に受けて、たまに舌なめずりをしたりしてみせている。
とうとう残りは僕だけになってしまって、周りに合わせて僕も姉の顔に射精した。
(ごめん)って、心の中ですっごい謝りながら。
でも姉は僕が射精するときには口を開けて、顔中にぶちまけられた精子を指先で集めるようにして口に入れて、「すっごい・・・濃厚・・・」って、うっとり。
撮影が終わって、男性達は流れ作業のようにお金を渡され、解散。
なんか呆然としながら、僕もお金の入った封筒を持って家に帰った。
夕食の支度をするのも忘れて、部屋が暗くなっても明かりも点けずに、ぼーっと座ってた。
夜遅くになって姉が帰ってきて、部屋の明かりも点けずに放心状態だった僕に言った。
「・・・幻滅したよね」
いつも強気な姉が、すっごい落ち込んでてさ。
正直、あまりいい仕事だとは思えない。
でも僕の生活を支えてくれたことは事実で、それに僕だってAVにお世話になったことはあった。
「そんなことない。でも、母さんたちにはバレないほうがいいと思う」
それだけ言ったのを覚えてる。
姉も「それはわかってる」って苦笑して、その日は姉がコンビニで買ってきてくれたお弁当を2人で食べた。
そのあと、姉から相談があるって言われた。
「監督がね、あんたのことを気に入っちゃって。精子、あんたのが一番濃くって、カメラ映りが良かったんだって。またああいう軽いやつになら出演してくれないか?って。もちろん顔が映らないような作品だけでいいんだけど」
姉だけにあんな仕事をさせるのは心苦しかったし、男の僕は別に汚れるとかそういう観念もなかったから引き受けた。
就活が忙しくなって、その仕事は辞めたけど、その間は、色んな女優さんにしゃぶってもらった。
みんな胸だって大きいし顔も美人だったけど・・・でもやっぱ、姉にしゃぶられたときが一番興奮した。
こんなこと、本人には絶対に言えないけど。
姉も就活で忙しくしているけど、もうすでに内定をもらっているところもあるみたい。
「就職したら、さすがにこの仕事は辞めるよね」
って聞いたら・・・。
「う~ん・・・っていうか、就職したら、結構早く結婚するかも。撮影の現場で知り合った人だから私がAVに出てることも理解してくれてるし、その上で結婚したいって言ってくれてるんだ。そんな人、もう出会えないと思うから」
恥ずかしそうにそう言われてさ。
そんな相手がいるなんて全然知らなかったし、そういう大切な相手がいるのにああいう仕事をし続けてまで生活を支えるのは、すごく辛かっただろうって思うと、もう姉には頭が上がらない。
女の人はほんとに強いなって思ったよ。
たまに、ほんとに仲のいい男友達とAVとかの話題になることがあって、「この女優さんは可愛かった」とかって盛り上がると、必ずっていうほど、「でも、彼女がAV女優だったら嫌だよなぁw」って言うんだよな。
そのたびに殴りつけたくなるのを堪えて、「まぁ綺麗な仕事じゃないけどさ。それ見て、僕らはいい思いしてるわけじゃん。だからそんなこと言えないと思うけど」って言うようにしてる。
ああいう仕事に対する偏見がなくなったらいいな、って僕は思ってる。