父親の3回忌の法事が終わり、一足先に俺と妹が実家に戻ったときのことだった。
いきなり妹が、「兄ちゃん、怒らないで聞いて」といつに無くマジ顔で話してきたので、何事かと話を聞くと
死んだ父親と俺の嫁が「男女関係」にあったという。
唐突にそんなことを言われたので、俺としてもどうリアクションを取ればよいのかわからず、ポカンとしていたのだが、妹の話を要約するとこうらしい。
当時高校生だった妹が学校を早退し、実家に帰宅したときのこと。
家族を「わっ!」と驚かそうと不意に玄関で思いついた妹が、抜き足差し足で家の中に入ると何やら俺たちの寝室から睦声が聞こえてきたので、また俺がAVを見ているか、当時新婚だった妻とセックスしているのかと思い、やおら行為を覗き見してみたくなったという。
部屋の前まで行くと、どうやら妻のヨガリ声らしかったので、「兄貴と義姉さんがセックスしてる!」と思ったらしい。
新婚とはいえ、平日の真昼間から仕事もサボり、新妻とセックスしている俺の痴態をのぞいてやろうとそっとドアの隙間から部屋の中を見て、卒倒したらしい。
なんと、妻と絡んでいたのは俺たちの父親だったからだ。
「えっ!?何これ?不倫?近親相姦?」と妹はパニックになったらしい。
「もうそのときのショックったらないよ。夕飯で何も知らない兄貴とお母さんをはさんで、お父さんと義姉さんがチラチラ目配せしあっとるし、事情をしているんは私だけやし。」といつこの事を俺に話そうかと思い悩んでいたらしい。
「義姉さん、週1回のスイミングの後、お父さんとホテルに行っているの知っとった?」
「しらん!しらん!そんなこともあったんか!?」
「バイトでいった配達先のビル近くでお父さんと義姉さんが急ぎ足でホテルに入るのを見たんよ!」
「おい!マジかよ!?」
「大マジやって!シャレでこんなこといえへんがな!」
「んでな、私その日の夜にカマかけて義姉さんに聞いたんよ、私も義姉さんみたいにやせたいんで、スイミングしようかなって。」
「ほんだら、なんといっとった?」
「一応、笑顔でスイミングはええよ、見たいな口ぶりやったけど目が笑ってなかったわ。」
最初のうちは、妹の話がどこか遠くの銀河での出来事のようだったが、ダメ押しのように一枚のDVDを見せられ、いきなり現実味を帯びた話になってきた。
「このDVDな、お父さんのパソコンから抜いた画像が入っているんよ、ショック死しんなや!」
妹の部屋で開けられたDVDには、妻と父の痴態が100枚はあろうかというほど収められていた。
父のモノをくわえ込む妻の画像や父と妻の結合部分、水着姿の妻が浴室内で父と戯れる姿など正視するのが困難な画像の数々だ。
「お父さん、死ぬ間際もうわ言でパソコン、パソコンいうとったんのしっとる?」
「ああ、そういえばそんなの事もいっとったわな。」
「それでな、私どうにも気になったんでパソコンの隅々まで調べたら・・・」
「この画像があったんか?」
「そうや!義姉さんも画像のことが気になっていたんか、私やお母さんにパソコンの事、何回か聞きに来たわ!」
「それで、どうしたん?」
「そいでな、私はすっとぼけてパソコンなんて使えへんから義姉さんに見てもらうわ、ゆうて画像をDVDに落としてから義姉さんに渡したわ。」
「あぁ!思い出した!!オヤジが死ぬちょっと前にカミサンがオヤジにパソコン教えてて、そのパソコンを借りたからっていうてたわ!」
「そやろ!そのパソコンの中にこの画像が隠されていたんやで!」
「カミサンは画像を消して、一安心と思ったんやろな。」
「あんな大人しそうな義姉さんの裏の顔がこれやで!」
「あいつ!よりによって旦那のオヤジとはめたんかっ!!」
「どうするん?義姉さんと?」
「どうもこうもないがな!ちっとばっかお灸すえなあかんな。」
それから2,3日後、妻のもとに差出人不明の手紙が届く。
中には父と妻の痴態画像数枚だけ。
その日の妻の動揺ぶりは、見ていて気の毒なほどだった。
「義父の死と同時に消えたはずの自分の不義が今、ここに来てなぜ!?」
というところなのであろう。
これ以上は妻をどうこうする気も無いのだが、しばらくはビクビクとしていただいてもらいましょうか!!