兄の愛撫はどこまでも優しく、そして果てしなく感じました・・

私には3歳上の兄がいる。 子供の頃からそれなりに仲のいい兄妹だった。

中学、高校となっても2ヶ月に1度位は一緒に映画を観たり、

兄が大学生になりバイトを始めると、 誕生日やクリスマスにはアクセサリーや服などをプレゼントしてくれた。

たまたまそんなところを友達に目撃された翌日

「昨日、一緒にいたの彼氏?格好いい!!大学生?」 なんて聞かれることもあった。

身内贔屓な部分を差し引いても兄はなかなか格好いいと思う。

だから、「紹介して」なんて言われるのが嫌でいつも適当に濁していた。

そうは言っても、別に何かがあったりはしなかった。

ただの仲のいい兄妹。 そう、1年程前のあの日までは・・・。

大学生になって暫くした頃、同じサークルの1つ上の先輩っと付き合うようになった。

その付き合いも8年になろうとしていた。

時々、将来の事も話していたけれど、結婚に特に拘っていなかった私は急かす事もしなかった。

それがいけなかったのだろうか・・・

去年の夏休み、一緒に旅行をしようと計画をしている最中に彼が言った。

「これが最後の旅行だから」

いつの間にか彼は会社の仲間との合コンで知り合った人と私と二股で付き合っていた。

相手は結婚願望が強く、両親とも引き合わせられ・・・

そんな話をされても涙なんて出なかった。

3泊4日の沖縄旅行も予定通り行った。 それまでと何も変わらないかのように、恋人として。

旅行から帰っても何事もないように2週間ほど過ぎ、残りの夏休みを消化している時だった・・・

出掛けもせず家にいた私に仕事から帰った兄が言った。

「何だ、彼氏は一緒に休めなかったのか?」

きちんと紹介はしていなかったけれど、付き合っている人がいるのは知っていた。

「・・・別れちゃったの」 そう答えた時の私は普通に笑っていたと思う。



「え?だって、沖縄一緒に行ったんだろ?  ・・・まぁ、色々あるか。そうだ、久し振りに飲みに行くか?」

ちょっとは心配してくれたんだろう。兄に言われるままに一緒に出掛けた。

一駅先に年に何度か兄と一緒に行く居酒屋がある。

兄も、私もお酒はそこそこ強い、その日もそこで随分飲んだ。

翌日は土曜で兄も仕事は休み、父が大阪に赴任しているのに母もついて行っているから 五月蝿く言われる心配もなかった。

電車もなくなり、一駅だから歩くことにした。

帰ってからまだ飲むかもとコンビニでお酒やちょっとしたおつまみ、デザートまで買って。

家につくと私はシャワーを浴びた。飲むとどうしてもシャワーを浴びたくなる。

私が出ると兄もシャワーを浴びて着替えると言うので、簡単なおつまみを用意した。

リビングのソファにもたれてのんびり飲み始めた。

彼との事を始めて兄にポツリポツリと話しているうちに、 お酒のせいもあったのかいつの間にか涙がこぼれた。

「私が気が利かなかったから・・・  私に魅力がなかったから・・・だから駄目になったの」

自分でも思いもしなかったがさすがに8年も付き合っていたのだから堪えていたようだ。

次から次へと涙のこぼれる私を兄が急に抱き締めた。

「茜、茜はいい女だよ。男なんていくらでもいる。」

「お兄ちゃん・・・痛いよ」

「ごめん、つい」

そうして力を緩めた兄と視線がぶつかった。

今度は引き寄せるのではなく押し倒された。

「ちょっと・・・お兄ちゃん・・・」

私の言葉は兄が唇を重ねたことによって消された。

酔っていたせいもあったのか、ううんもしかすると 兄とそうなる事を望んでいたのかもしれない。

兄の唇が首筋へ下りて来ても、服の中へ手が滑り込んでも なすがままになっていた。

兄の愛撫はどこまでも優しく、そしてどこまでも果てしなく感じた。

今でも時々兄とは抱き合っている。

この先はまだわからない。

ただ、お互いに気持ちよく、安心できるというせいなのかもしれない。