私は数年前の平成大不況の煽りでそれまでの職を失って以来、民事専門の弁護士をしている妻を家庭で支える“主夫”として働いています。
いえ、正しくは、“妻の妻”と言ったほうが良いのでしょうか。
私と妻との夫婦関係は、この数年感で完全に逆転してしまったのです。
長くなりますが、私たち夫婦の異常な性生活の話を聞いて下さい。
誰かにこの秘密を洗いざらい話さないと、私はいつかおかしくなってしまいそうなのです。
そもそも私たちの夫婦生活は通常とは少し違ったものでした。
中小企業に勤めるごく普通、いや平均よりもやや“仕事のできない”営業マンだった私(誠司)と、大学在学中に旧司法試験に合格し、そのまま大手弁護士事務所にとんとん拍子に勤めた妻(絢子)のカップルは、初めから『月とすっぽん』の表現がふさわしい、不釣り合いなものでした。
今さら出会いのきっかけや交際のあれこれを振り返っても仕方ないので書きませんが、自分でもよくこれほどの女性と結婚にこぎつけたものだと思います。
絢子は独身の頃から、理知的でいながらすごくハツラツとしている、一緒にいると元気が出るような魅力的な女性でした。
女性にしてもやや小柄な体に、形の良いバスト。
髪を長めにしているので今は少しイメージが違うかもしれませんが、ショートにしていた大学時代は、広末涼子によく似ているなと思ったものです。
友人たちにもよく指摘されたので、これは私の自惚れではないと思います。
ただそんな妻も、家で仕事をしているときは、時折ぞくっとするような怜悧な目つきをすることがありました。
のんびりとした営業マン生活をしている私には想像もつかない、レベルの高い悩みを抱えていたのかなと今では思います。
しかし、当時の私はそんな彼女の心のケアも十分にできない、ダメな夫でした。
そのことを、今では痛烈に後悔しています。
「ごめん、また昇進試験うまくいかなかったよ。幹部面接でまたハネられちゃったみたいだ」
「そっか、残念だったね。また次があるよ、来年はがんばろうね」
絢子とこんな会話を何回繰り返したでしょうか。
昼間はピシっとしたパンツスーツを着て仕事をこなし、夕方にはうちに帰って家庭の女性としてきちんと振る舞う絢子に対し、私は自分の仕事すらまともにできない体たらくでした。
業績が傾いた我が社は数年前から大規模な人員整理に乗り出していたのですが、そのリストの上位に私の名前が載ることになったのも、このことを考えれば当然とも言えるでしょう。
私は妻より8つ年上なのですが、妻の給料は初任給からすでに私の稼ぐ額を超えていましたので、今さらリストラくらいで夫としてのプライドが打ち崩されるということはありませんでした。
ただ、妻への申し訳なさと気恥ずかしさ、そして、(ああ、これでもう妻と自分の給与の差に怯えなくてもいいんだ)という小さな安堵があったのをよく覚えています。
「あ、誠司さん。今朝のゴミ出しだけど、ちゃんと分別してなかったよね?直しておいたから次から気をつけてね。隣のおばさんうるさいから」
「悪いんだけど、今月はちょっと忙しくなりそうなんだ。誠司さんも就職活動で忙しいと思うんだけど、私の担当だったトイレとお風呂の掃除、今月だけ任せてもいいかな?」
「ごめん、今日も晩ごはんを作れそうにないの。冷蔵庫にカレールーと材料があるから、悪いけど自分で作り方を調べてカレー作っておいてね。8時には帰ります」
あれよあれよという間に、私の生活は“サラリーマン”から“フリーター”になり、“お手伝いさん”になり・・・、最終的に就職活動を諦めて“専業主夫”に成り下がるのに半年とかかりませんでした。
絢子は私との生活を守るため、それまでの担当よりも忙しくなる企業関係の訴訟を率先して受任するようになり、激務の日々が続いているようでした。
私は仕事を失ってから家計の管理を絢子に任せっきりにしていたのでしばらく知りませんでしたが、あるとき妻の言いつけで銀行に行ったとき、月々振り込まれる額がそれまでの1.5倍以上になっていて、たいそう驚いたものです。
私は毎日遅くまで働くようになった妻のサポートをするべく一生懸命家事を覚えようとしましたが、それまで彼女が士業の片手間にこなしていたことと同じことさえままならず、私はなかなか上手くできるようになりませんでした。
「誠司さん、言ったよね?お味噌汁は火に掛けっぱなしにしちゃいけないって。どうしてこんな簡単なことができないの?私が見ててあげるから、もう1回作り直そっか」
「お風呂。・・・ねえ、聞こえなかった?お風呂入れてって言ったの。あたし疲れているんだから、あんまり何回も言わせないでくれる?」
「あー・・・ちょっと、どうしてビールの買い置きをしてないの?昼間メールしたよね?・・・ウソ、絶対送ったから携帯出して見せてご覧?・・・ほーら、なんでウソつくのかな?今すぐコンビニまで行ってきなさい。・・・のろのろしてないで急いで!」
妻が私を見る目が、日々少しずつ変わってきました。
営業マンとして働いていた頃は、どんなに仕事で失敗しても、記念日を一緒に過ごせなくても、ちゃんと私に尊敬の心を持って接してくれていた絢子。
でも今は、私がちょっとしたミスをするたびに、「どうしてこんなことができないの?」「あなた、ちょっと物覚えが悪すぎない?」「やっと私にもリストラされた理由がわかったわ」・・・。
すぐにこうした鋭い言葉が飛んできます。
こうしたお説教をされるとき、絢子は仕事をしているときの、あの鋭い目つきになります。
怜悧冷徹な、人を値踏みするような目。
エリートとしての自分とはあまりにも差がある無様な夫を品定めするような目。
あの目つきでじっと見つめられると、私はもじもじとして、何も言えずに下を向いてしまいます。
そして蚊の鳴くような声で、「ごめん、次からは気をつけるよ」だとか「疲れているのに面倒かけて主夫失格だね」といった情けない台詞を呟くしかなくなるのです。
前置きが長くなりました。
絢子との生活が決定的に変わってしまったのは、私がリストラされてからちょうど1年が経った早春の頃でした。
「話があるの。こっちに来てくれる?」
その日、いつもより少し早い午後8時頃に帰宅した絢子は、私のいまひとつ上達しない夕食を食べ終わると、そう言って私を居間のソファに誘いました。
「どうしたの、かしこまっちゃって。またお給料でも上がった?」
私がへらへらと緩んだ表情でからかおうとすると、絢子は一瞬「ふっ」と嘲るような顔をして・・・。
「そろそろ、ちゃんとこれからのルールを作ろうと思うんだよね。・・・私、正直言ってそろそろあなたへの愛情が尽きはじめて来ちゃったみたいなんだ」
・・・そう宣言して、にっこりと笑いました。
絶句している私に構わず、それから1時間ほど絢子は話を続けました。
あなたがこれまで1年間、私の仕事を支えてくれたことには感謝していること。
家事もずいぶん上達したし、専業主婦としては合格点ではないけど、努力点をつけてあげられるくらいのレベルにはなっていること。
決して愛情が冷め切ったわけではなく、今でも変わらずに私のことを愛していること。
「別に、今すぐ離婚してくれとか、実は浮気相手がいるとか、そういうわけじゃないの。疑う?・・・ふふっ」
絢子はそう言っていたずらっぽく笑いました。
私はといえば、この間高価な皿を割ってしまったときと同じように、ソファに座って自分の青いエプロンを握り締め、ただただ襲ってくる不安と戦っていました。
妻は何を言いたいのだろう?
「これからのルール」とは何だろう?
「それで、ルールっていうのはどういうことなの?」
私が絞り出すように言うと、妻はまじめな顔をしてソファに座り直しました。
「私が不満に思っているのは、正直言ってあなたの態度なの。私は一般的な男性よりも恵まれた仕事ができているから、うちは世帯全体としては普通以上の収入があるよね?日本では一般的じゃないけど、十分な収入さえあれば、男性が専業主夫をするのも決しておかしいことじゃないと思うの。前にジェンダーハラスメントとかの担当もしたことがあるって話したことあったと思うけど、そういうのには結構寛容なんだよね。だから、あたしもあなたが仕事探しを辞めるって言ったとき、『それでもいいよ、でもあたしのことを支えてね』って言ったんだ」
「・・・」
「でも最近、一生懸命に毎日働いて帰ってきて、家で待っているあなたの態度にどんどん不満が溜まるようになったの。あたしよりも年上で働き盛りのはずのあなたが、料理が上手とか、家事が完璧とかの特殊な技能を持っているわけでもないのに、毎日ゆっくり家で過ごして、中途半端な家事をしたくらいで胸を張ってる。そのことが、どんどんあたしの胸に刺さって、あなたへの尊敬や愛情を鈍らせていくの。・・・わかるでしょ?」
「・・・」
「このままだと、いつかきっと私、あなたと別れたくなっちゃうと思う」
「そんなっ・・・そんな、のって・・・」
「勘違いしないで、だから今すぐどうこうってわけじゃないのよ。私が話したいのは、そうならないようにどうしたらいいかってこと。いい?」
「うん・・・」
「私はね、実際私たちの夫婦関係は逆転したわけなのに、家では夫のように振る舞おうとするあなたに違和感を覚えてるんだ。ずっとずっとどうしたらいいか悩んでた。でも、やっぱり方法はひとつしかないんだよね。わかる?」
「・・・どういうこと?」
「仕事や役割では夫婦が逆転しているのに、私たちの関係は以前のままだからおかしくなるのよ。はっきり言って、専業主夫になったなら、あなたには私の『奥さん』になって欲しいわけ。心も体もね」
「・・・なんだって!?」
絢子との話し合いは長く続きました。
彼女の言った「これからのルール作り」とは、私が彼女の“奥さん”として自覚を持ち、心から彼女を支え、敬い、仕える“良妻”として振る舞えるようになるための規則のことだったのです。
彼女はてきぱきと、あらかじめ準備していたらしいあれこれのルールを説明していきました。
もちろん、仕事をしているときのあの冷たい目つきで、じっと私を見つめながらです。
一、誠司は今後、絢子を生活の基礎たる“尊敬する夫”として、陰日向にわたり支える“妻”であるという自覚を持つ。
一、絢子に対しては今後きちんとした敬語を使い、絢子が誠司に“夫として一般的な口調”で接することを認める。
一、これまで一部分担していた家事は、これからは全て妻たる誠司がやる。
一、家計は夫たる絢子が今後も管理していくことに加え、もしも今後婚姻関係が破綻した場合は、私は“妻としての財産分与を一切放棄する”ことをあらかじめ書面化する。
・・・文章にすると、明らかに日本のジェンダー感覚からはかけ離れた文言の数々が飛び出てきました。
私は圧倒されて、ほとんど黙り込んで絢子の話に聞き入っていました。
もごもごと反論しようとしましたが、彼女の弁舌の前では無力でした。
何しろ収入の観点からしても、彼女の言い分には奇妙なほど道理が通っているのです。
『専業主夫になりたいのなら、もっと専業主夫らしくしろ』
彼女が言いたいのは、つまりはこういうことなのですから。
「どうする?私はあなたのこと愛しているけど、このままじゃ私、あなたと一緒にいられないんだ。今夜中に決断してね」
滔々と語り終えた絢子は、最後にこう言って緑色の紙を差し出しました。
『妻』の欄に、すでに彼女の名前が記入されてある離婚届です。
「あなたがどっちを選択するにしても、どちらにしろ私は『あなたの妻』はもう御免よ」
絢子は明らかに、そう主張しているのでした。
「ただいま。今日は疲れたよ」
「ああ、絢子さん、お帰りなさいませ。お食事を先にされますか?お風呂にされますか?」
「ご飯にするわ。今日はうまくできた?ダメだったら作り直しよ」
「はい、頑張りました。あと、メールをもらったビールもケースで買っておきましたから」
「うん、よくできたね。あ、これ書斎に運んでおいて」
「はい、お疲れ様でした」
そんな会話が普通にできるようになるまで、それから1ヶ月はかかりました。
それまでの関係が嘘のような完全に逆転した夫婦の会話。
私にとっては屈辱感のあるそのやりとりが、絢子には・・・いえ“主人”にはとても満足な様子でした。
私はそもそもリストラされて専業主夫に成り下がってしまった“失格夫”ですから、どこかしっくりこないこの関係も、もしかしたら本来私たちにふさわしいことなのかもしれないと思えてきた頃です。
(これくらいのことで、彼女の気持ちが離れないでいてくれるなら・・・)
この頃の私はそんなふうに思っていました。
しかし、本当の屈辱、本当の後悔はこのあとに直面することになるのです。
そう、セックスの問題でした。
これまで触れてきませんでしたが、夫婦の関係が変わって、最も様変わりしたのがセックス事情でした。
恥ずかしながら、私は絢子の夫だった頃、セックスに関してはかなり亭主関白なところがありました。
自分がしたいときには自分から無理に迫って抜いてもらうくせに、私の気分が乗らないときは、絢子がそれとなくおねだりしてきてもさっさと寝てしまうことがほとんどという自分勝手さでした。
絢子は私が初めての男だったので、まだ10代だった大学時代にフェラチオの仕方から教え込んだということもあり、その主従関係がこれまでずるずると続いてきたのだとも言えます。
絢子があの『ルール作り』で最もこだわったのが、セックスに関してでした。
「夫である私にセックスの選択権がある」と宣言した通り、絢子は自分がしたいときにだけ、「あたし、今夜は『溜まってる』から。あとで寝室の準備をしておきなさい」と妻である私に命令するのです。
「今夜は寝室の準備しといてね」
・・・これは私が夫だった頃、彼女によく言っていた台詞でした。
さすがに「溜まってる」までは言いませんでしたが、今思えば勝手な台詞です。
我が家の寝室はツインベッドにしていて、夜の生活をするときだけベッドをくっつけてダブルサイズのベッドにするのですが、その準備をして、というのが私たち夫婦のセックスの合図でした。
それを今は絢子から私に要求するのです。
まるで私のペニスが自分の性欲処理の道具であるかのように。
絢子も、きっと私の『妻は夫のセックスに応じて当然』と言わんばかりの言葉の裏に、『お前のおマンコは俺の性欲を慰めるためにあるんだ』というような傲慢なニュアンスを感じていたのでしょうか。
絢子との現在のセックスはこんなふうに始まります。
私は食事の片付けを終え、命令通りに寝室を整えて、風呂の準備をして絢子を出迎えます。
ちなみにセックスの合図があるのはメールでだったり、朝出るときだったりするので、もちろん私は“亭主”が帰ってくるまでに体を洗い清めて、いつでも出番に応じられるように準備をしています。
私の体はもう彼女のものなのですから。
絢子はお風呂で1日の疲れを落とすと、私がダブルにしておいたベッドに横たわり、たいていそのままマッサージの要求をします。
「今日はどこがお疲れですか?」
「そうね、今日は依頼人のところを何ヶ所も回ってきたから、足がかなり凝ってるかな。悪いけど念入りにやってくれる」
「わかりました」
「あと、今度買うのは無香料のオイルにしておいてね。こないだのは香りが強くて仕事に響きそうだったから。お金はあとで渡すから、ちゃんと領収証をもらってくるのよ」
私は指定された最高級のボディオイルを使い、うつ伏せになった絢子の全身を丁寧に解していきます。
たっぷり1時間は揉み解すと、今度は仰向けに。
再び足からだんだんとマッサージしていきますが、今度はさわさわと性感帯を弄っていくような、愛撫のような揉み方に変えていきます。
このやり方は絢子にずいぶん仕込まれたものでした。
絢子は初め、セックスを完全にお預けにして、徹底的に“妻としてのご奉仕”のやり方を私に教え込んだのです。
「そんな揉み方じゃ全然気持ち良くない。今日もエッチはお預けだから。あなたはあたしのお金で養ってもらっていること、ちゃんとわかってるよね。感謝を込めてマッサージするのよ」
「オイルをこんなにべちゃべちゃに掛けてどういうつもりなの?1日中家でだらだらしてるくせに、本当に物覚えが悪いのね」
「そうそう、上手よ。今はあたしへのマッサージがあなたの一番のお仕事なんだから、一生懸命覚えてね」
もちろん、絢子・・・いえ、主人へのご奉仕にはセックスのテクニックも所作も、全てが含まれます。
まだそうした行為に慣れていない私を、絢子は「誠司は嫁入り修行もちゃんとしてこなかったのね」と笑い、徹底的に新妻としての自覚を植え込もうとしました。
足の裏のからふくらはぎ、太ももを経由して鼠蹊部に至るマッサージ、さわさわとおマンコの両脇を指で擦りながら、乳首やおっぱいにもたっぷりオイルを垂らす。
最初にすぐ乳首を触ってはいけない。
おっぱいの乳腺の辺りから、触るか触らないかの手加減で念入りに性感を呼び覚ましていくように・・・。
「そろそろよろしいですか?」
「いいわよ」
主人の許可を取ってから、いよいよ本格的にご奉仕マッサージをはじめます。
片方の手で乳首を弄り、くちゅくちゅ、くちゃくちゃとオイルの音を立てながらおマンコのほうも刺激していきます。
時にはわざと激しく音を立てたり、ゆっくりと擦ったり・・・。
私は絢子に徹底的に仕込まれ、男が身に付けるには屈辱的なご奉仕テクニックを学んでしまったのです。
美しい絢子の体にこうして奉仕していると、私も男ですから、すぐにペニスがムクムクと頭をもたげてきてしまいます。
私はそれまでトランクスを愛用していましたが、最近は主人の言いつけでブーメランパンツのような生地の少ない下着を着させられていましたので、すぐに私の性的興奮は彼女の知るところになってしまいます。
「あら、クリトリスがもうこんなになってるわよ。もう入れて欲しいの?ほんとに誠司くんは淫乱だね」
まるで男が女に言うような台詞で、絢子が私を嬲ってきます。
パンツにはギンギンに勃起したペニスの形が恥ずかしいほど浮き上がり、先端からは透明な汁が止め処なく流れています。
恥ずかしそうに私が身をよじると、絢子は私のリアクションに興奮したのか、「可愛いね。パンツを自分で脱ぎなさい」と命令してきました。
このときも、妻である私は所作に気をつけなくてはなりません。
男が女を犯すときに下着を荒々しく脱ぐことがありますが、私は今、はしたなく濡らしてしまったいやらしい性器を主人にいじめていただくところなのです。
私は正座したまま少し腰を浮かして、主人に買い与えて頂いたパンツを少しずつずらして、期待させるように脱いでいきます。
絢子はこうした“妻らしい所作”を私に強要し、私がそれに順応していくのがたまらなく興奮するようでした。
それまで私が無意識に彼女に押し付けてきた妻という役割が逆転し、それに私が屈服していくことに最高のカタルシスとエクスタシーを感じると言うのです。
「あらあら、クリちゃんがピンピンに勃起しちゃってるよ?まるで男の人のペニスみたい」
くすくすと笑いながら、絢子は私の“クリトリス”を指で弾きました。
この台詞も、私が夫であったときによく彼女に掛けた言葉でした。
こういうやりとりは、アダルトビデオではよくありますよね?
「そんなに言っててもこっちはこんなになってるよ」
「びちゃびちゃに濡らしちゃって、◯◯ちゃんは淫乱な子だね」
「入れて欲しいときは何て言うの?」
「あそこじゃわからないよ、ちゃんと『おマンコ』って言いなさい」
「よく言えたね、ご褒美にご主人様のチンポをぶち込んであげようね」
・・・。
今の私は、こうした言葉の所有権を失ってしまいました。
すべては、家長であり私の主人である絢子のものなのです。
「ほら、両足を持ってよく広げて見せて・・・ほら、クリチンポの先っちょがもうヌルヌルになってるよ。誠司はどうしてすぐ濡らしちゃうの?マッサージで興奮しちゃったのかな?」
「はい、ご主人様の体を触っていて興奮してしまいました」
「そうなんだ~、もう入れて欲しい?あたしのココでぐちゃぐちゃかき混ぜて欲しいんでしょ」
「はい・・・ご主人様のエッチなアソコで俺のココを」
「ふふ、『ココ』じゃわかんない。それにエッチのときは『俺』じゃないでしょ?あたしと別れたいの?」
「すみません、せ、誠子のクリトリスを、ご主人様のでいっぱいぐちゃぐちゃにしてください」
「よくできました。ほら、フェラしていいわよ」
「あ、ありがとうございますっ」
私は尻尾を振る犬のように跪くと、M字開脚している主人の前にひれ伏して、その性器に顔を突っ込みます。
絢子はクンニのことを「フェラ」とか「おしゃぶり」と表現して、徹底的に私を新妻扱いするのでした。
上手にできないと、「誠子ちゃんはおしゃぶりのやり方も知らないの?誰が自分の食い扶持を稼いでると思ってるのかな?」と冷たい瞳でバカにするのです。
私は一生懸命にオイルでテラテラと濡れそぼっている主人のおマンコに顔を埋め、主人に言われるがままに奉仕を進めていきます。
「そう、チンポの先をペロペロして」
「がっついちゃだめだよ、ちゅっちゅってキスするの」
「いいよ、そう・・・やん、上手ね・・・アナルの方からベロベロと舐め上げなさい」
・・・そうした命令のままに主人のアソコの準備を終えたら、次は主人の股間に顔を埋めたままコンドームの準備を始めます。
これも私が独身時代に彼女に仕込んだものでした。
何も知らない生娘だった絢子に・・・。
「セックスする前にチンポをしゃぶって入れる準備をするんだよ」
「おしゃぶりをしながらゴムの包装を開けて、自分で付けてご覧」
・・・絢子は私が夫だった頃に彼女に仕込んだテクニックを、逆に私に教えていくのでした。
「そんなことも知らないの?妻の常識よ」とでも言いたげな、いたずらっぽい笑顔で。
しかも、彼女が強要するコンドームの準備は通常のものではありません。
「まだ赤ちゃんは欲しくないから、自分で避妊をするんだよ」
そう言って、通常のコンドームを一枚付けた上に、通販でしか手に入らない極厚のゴムを付けさせるのです。
これは避妊のためというより、私が絢子よりも先に達してしまうのを防ぐための措置でした。
主人がイクよりもさきに妻がイッてしまうなど、我が家ではありえないことなのです。
二重にしたゴムは脱落しやすいので、絢子はさらにペニスリングを上から付けさせます。
これの形状は文章で説明するのが難しいのですが、その名の通りペニスにはめるリング状になっていて、チンポをAVに出てくるような柔らかいトゲトゲの付いたバイブのような形状にするもの・・・と書けば伝わるでしょうか。
早い話、私のペニスは、徹底的に主人を喜ばせるためだけの“バイブ”に成り下がるのです。
妻である私にとってセックスは奉仕でしかありません。
仕事で疲れて帰る夫を愉しませ、気持ちよく明日も仕事をしてもらうための、いわば儀式なのです。
そうしてようやく許してもらえる挿入も、大変屈辱的なものです。
私は生娘のようにベッドに仰向けになり、主人の命令で両足を抱えた恥ずかしい“おしっこポーズ”をさせられ、挿入のおねだりを強要されます。
「入れて下さい」
「おマンコしてください」
・・・こんな程度では絢子は許してくれません。
「誠子のいやらしいおマンコにご主人様のチンポをぶち込んでください」
そう大きな声で言えると、「よく言えたね、可愛かったよ」と言って、いやらしい笑顔を浮かべながら主人がのしかかってくるのです。
絢子は私の亀頭に濡れそぼったおマンコを擦り付けながら、「ねえ、入れて欲しい?ご褒美欲しいの?」とさんざん辱めたあと、ニュルルッ!と一気に奥まで騎乗位で挿入します。
しかし、私の装着している分厚い二重ゴムとペニスリングは、その官能的な感触をほとんどペニスに伝えてくれることはありません。
それでも、絢子と繋がれることには脳の気持ち良さと言うのでしょうか、主人に従属し、ご褒美をもらう『パブロフの犬』的喜びで、私は体をよじるほど興奮してしまうのです。
ご主人様は好きなように私のペニスを楽しみ、リングの突起を膣に馴染ませるように何度も何度もスケベな絶頂を迎えます。
私はそれをサポートするように腰を振り、主人の言いつけ通りに何度も体位を変えます。
でも、ほとんどが女性上位なのは変わりません。
そうして、何度目かに絢子がビクビクと体を震わせて下品なまでに盛大にイクと、それで夫婦の営みは終了します。
私は射精できないまま、惨めに主人の性器からペニスを抜き取り、そのまま後始末をします。
タオルとティッシュで主人の体を拭き清め、ゴムを丁寧に取り外して、マン汁だらけになったリングを綺麗に洗浄してきます。
そうして、ほとんど放心状態で寝入ってしまいそうな様子の絢子に、「よろしいでしょうか」と声を掛けて、射精の許しをもらうのです。
「ああ・・・忘れてた。いいよ、そこで立ってしなさい」
「ありがとうございます・・・クリチンオナニーをさせて頂きます」
「いつも言ってるけど、ピュッ!って出したらお仕置きだからね。あなたがやっていいのはジワッってマン汁を潮吹きするだけだから。ほら、可愛いところを見せて」
「せ、誠子の今月10回目のマンズリ潮吹きをご覧下さい・・・」
私が許されているオナニーは通常の片手でしごきあげる自慰ではありません。
絢子が言ったように、ザーメンを噴出するのではなく、寸止めを何度も繰り返して繰り返してじわじわと透明なザーメンを吐き出すことを覚えさせられるのです。
二重ゴムから開放され、今にも盛大にザーメン噴水を吹きそうなペニスの亀頭部分を、私は摘むようにして弄ります。
もう片方の手では、我慢汁をつけた指先で乳首を弄るだけ。
私に許されているのはたったこれだけです。
竿をしごき上げたり、亀頭を握ってシコシコと愉しむことは許されません。
それは男のオナニーだからです。
主人の新妻である私は、クリトリスとを弄ぶことと、おっぱいを開発すること以外のオナニーは“はしたないこと”として許されてはいないのです。
それでも主人へのご奉仕でさんざん性感が高ぶっていた私は、乳首をしごきながら女の子のような嬌声をあげて、やがてジワジワと亀頭からザーメンを吐き出します。
噴水のように一気に吹き出すのではなく、やや緩めた蛇口から水がしみ出るように、少しずつ。
この惨めなオナニーを主人に見届けて頂いて、ようやく私の夜の勤めは終わりになります。