真夏の強い陽ざしが照りつけていた。
日本海の海岸に聳え立つ奇岩、洞門、断崖絶壁が点在する景勝を堪能し、青春の恋が芽生えた砂丘も眺望して温泉街に辿り着く。
そこは二十五年ぶりに訪れた和風の旅館だった。
部屋に落ち着つくと、酷暑に汗まみれたからだを温泉の湯で流してさっぱりとしたかった。
早速、家族風呂の貸し切りを予約する。
敏子は、恥ずかしがって嫌がったが、折角の家族風呂だからと慫慂すると渋々納得してくれた。
家族風呂は一階にあった。
脱衣場は薄暗くしてあり落ち着いた雰囲気だ。
敏子は、脱衣場で私に背を向けて慎ましやかに一枚ずつ脱いでいく。
やがて白く艶やかなスリムな真っ裸のからだがそこに立っていた。
久しぶりにみる敏子の全裸だ。
贅肉のない均整のとれた体付、形よく膨らんだヒップと太腿や脚、それらを目で追いながら見つめると、全身が申し分のない女の丸味を備えていた。
家族風呂のガラス戸を開けると、そこは小じんまりと造られた岩風呂だった。
湯煙が立ちこめている。
浴槽が小さいので湯に浸かるのは二人が精一杯だ。
岩と岩との合間からちょろちょろとお湯が流れ出ていて、風情があり、二人で入るくつろぎと色香の雰囲気が、充分に醸し出されていた。
敏子が淑女のように、左手で乳房を、右手で前をタオルで隠して入ってきた。
洗い場に腰を掛けて、湯桶で全身に湯を掛けると、湯を浴びた柔肌が湯玉を浴びて弾けるように浮かび上がる。
その姿を湯に浸かりながら私は横目で盗み見していた。
首筋から肩にかけてのなだらかな曲線、胸元から乳首にいたる穏やかなライン、くびれたウエスト、そこからせり上がる強い張りの腰、白く細い足、など、四十八歳女の全裸は、まだ肌に艶があり、まだまだ成熟した女の美しさを保っていた。
格別、腰回りと尻朶が、今にもその肉が弾け出そうなほどに厚く張っている。
全身がすんなりと均整のとれた白い裸体がまぶしいほどで、豊かに膨らむ女のからだは男を猛々しくいきり勃たせた。
やがて私の目の前で敏子が浴槽に足を踏み入れた。
下腹部の重なり合った両腿の間から、淡い恥毛が僅かに見えていたが、両脚が湯に浸かるに連れて、そのすべてが映し出された。
久しぶりに眼にする敏子の陰毛は立派な逆三角形に生え茂っていた。
その全裸の敏子が湯に浸かる。
なだらか曲線を描く下腹の向こうに盛り上がった陰阜と、それを飾る黒い茂みがよく見える。
太腿の付け根に黒い藻が漂っていて男を興奮のるつぼに追い込んでいいく。
湯から上がった敏子の背中を石鹸をつけたタオルで洗い流してやる。
その手をさりげなく前に回し、乳房、下腹。
そして太腿、ついには膨らむ陰毛の丘と恥裂を指先で触れて洗い流していくと、敏子は一向知らぬ振りをしてはいたが、その快感にまどろんでいる様子たった。
背後から敏子の背中を抱え込んだ。
勃起は豊かなヒップの合わせ目あたりに力強く触れた。
背中の両腋の下から手を差し込み、二つの乳房を気兼ねなく揉んでいく。
更に手を下げて股間を優しく柔らかく愛撫する。
敏子は、膝を折り曲げた両足を斜めに伸ばして、うっとりと目を閉じ、からだを投げ出して身を任せてくれていた。
浴槽から出た敏子のからだを丁寧に拭いてやり浴衣を着せて二人は部屋に戻った。
窓際のソフアで浴衣姿でくつろぐ敏子の艶濃い姿態が、水平線に沈む夕陽を浴びながら、男の誘いを待っているかのように艶濃かった。
静まり返った夜中、どちらからともなく抱きあった。
この旅館で初夜を迎えた二十五年前の想い出を、互いに甦らせて偲びながら、二人は抱き合い貪り合った。
その興奮は温泉宿の柔らかい布団の中で爆発し、二人とも完全に満ち足りて、深い滝壺の底に果てていった。
雰囲気を醸し出した岩風呂で敏子のからだを癒し、柔肌をほぐして、二十五年前のあの時に逆戻りして愉悦の一夜を過ごした男と女の温泉の夜だった。