好きな人にファーストキスと処女を捧げた話

大学入試も無事終わり、

東京に行く事が決まり、

何をするでもない、

人生で多分一番暇な時期でした。

本屋でばったり松田君と会いました。

(名前は当然変えて書きますね。)

彼とは小○校から高校まで同じでした。

クラスは多分一度も一緒には

なってないと思います。

「どこ受かった?」

と言うような会話で始まったと思います。

私が東京の私立大学の名前を言うと、

「へぇよかったね。頑張ったんだ。」

私は特に成績が良いと言う訳でもなく、

まあ中の上くらいでした。

「松田君は何処行くの?」と聞くと、

「俺さぁ 叔父貴がアメリカに居るんだよね。それで、英語でも覚えに行こうと思ってる。駄目ならすぐに帰って来るよ。その可能性が大だな。」

と屈託なく笑いました。

「それより、秋葉と話すの久し振りだね。いつ話したっけ?高校で話した?」

「いつかなぁ?小○校の時話したのは覚えてるけど・・・」

それくらいの付き合いでした。

松田君は中○からバスケを始め、

高校ではインターハイに行くほど上手かったみたいです。

私は、上手くもならないテニスを中○からずっとしてました。

本屋の立ち話もナンなんで、喫茶店に入りました。

相変らず小○校から高校までの友達の話や、アメリカに行く事を

決めるまでの彼の話が主でした。

よく見ると、松田君は精悍な顔をして結構好い男でした。

私の友達も何人か彼のファンが居ました。

「秋葉さん、松田君と友達でしょ?紹介してよ。」とか

言われた事もあったのを思い出したりしていました。多分私は

「松田君?知ってるけど話した事ない。そんなにいいかなぁ?」

みたいな返事をしていたと思います。それくらいの印象でしか

なかった彼が・・・・

「秋葉、当然彼氏なんか居ないよな。」突然彼が言いました。

「まっ 失礼ねぇ。そんなにもてなさそう?って言うか居ないけどね。」

半分本気で言い返しました。

「違うよ。秋葉って男なんか関係ないって顔してるじゃん。小○校から。だから彼氏なんか居ないと思っただけだよ。ごめんな。気に障った?」

「別に。そうかぁ・・・そんな風に見えてたんだ。けど、そうかも。特に好きな男子が居た事もないし、と言って男嫌いと言う訳でもないんだけどな。」

「俺、小○校の時から、秋葉って結構気になってたんだけど、お前は全くそんな気なかったもんな。それで諦めた。打ち明ける勇気もなかったしな。」

「そうなんだ。言ってくれれば良かったのに。」

「えっ 言ったら付き合ってくれてた?」

「いや、多分、ごめんなさいって言ったと思う。

でも、私はものすごく嬉しかったと思う。」

「そっかぁ・・・やっぱ駄目だったか。だよな、こんなバスケ馬鹿。」

「でも、松田君ってすごいもててたでしょ?私の周りもファンいっぱい居たよ。」

その問いには無言でした。

「秋葉、今から用ある?なかったら何処か行かない?」

「え〜っ 私と?どこに行くの?」

私はホントはすごく嬉しかったんです。用事なんか何にもありません。

かえって暇を持て余してるくらいでした。

「どこでもいいからさ。付き合ってよ。時間ない?」

「う〜ん どうしようかなぁ・・・ お母さんにも言ってないし・・・」

「あのさぁ、小○生じゃないんだし、これから東京で独り暮らしだろ?お前

イチイチお袋に許可貰うつもりか?」

そう言えばそうでした。もうすぐ独り暮らしを始めなきゃならないんです。

「分かった。どこか連れてってよ。」

私の生まれて初めてのデートでした。男の人と二人で歩くのも。

結局何処に行くって訳でもなく、街をブラブラするだけでした。

何を話したのかも全く覚えてません。夕方に私を家まで送ってくれました。

「秋葉ぁ 明日は暇ない?明日こそ何処か行こうよ。俺あんまり時間ないしさ。」

そう言えば松田君もアメリカに行くんだ。と気が付きました。

「いつ発つの?」「再来週。あと10日しかないんだ。だから・・・」

「分かった。どっか行こう。任せるから決めててね。」

その日は誰が見ても、浮かれてたと思います。

姉が「あんた どした?なんかあった?」

と聞いたくらいだったと思います。

次の日行ったのは、なんと動物園でした。寒い日でした。

「なんでこんな寒い日に動物園?」と彼に聞きました。

「昨日、あれからずっと考えてたけど、お前のイメージとして動物園以外にはなかった。」

「私、小○生?」

「違うよ。お前と初めて話したの ここだったから。小○校の遠足で。」

そうでした。

思い出しました。

遠足でお弁当食べてる時、

「おっ、美味そ。ちょっと頂戴。」

私の後ろからお弁当を覗き込んで話して来たのが彼、松田君でした。

「お前覚えてないだろうけど、美味そうな弁当食ってたもんな。ちょっと頂戴って言ったら卵焼きくれたんだ。あの時から気になってたのかも知れんな。」

私はすごく嬉しかったけど、

「え〜 全然覚えてないよ。私の弁当、そんなに美味しそうだった?」

「ううん。お前が食ってるから美味そうだったと思う。」

この言葉ははっきり覚えています。私が食べてたから、美味しそうだった・・・

「ねぇ、今日から松田君が発つまで付き合わない?10日間だけ。私もその後東京に行くし・・・」

そんな話で私と松田君は付き合う事になりました。

独り暮らしの準備も、母と姉が殆どしてくれました。

姉は何となく分かってたみたいで、

「初めての彼氏かぁ。もうキスした?それ以上は? いってないよね。」

とか、からかって言って来てました。

「バカ、そんな事するかぁ。あんたじゃあるまいし。」



「私なんか中○でキス終わったし、高校で捨てちゃったしね。あんた真面目でガリ勉だから心配してたんだよ。免疫なくて独り暮らしなんかしたら、悪い男に騙されるんじゃないかって。」

私は、姉には本当の事話しました。

同級生で、今まで何とも思わなかったのに、急に好きになったって。

しかも、後10日しかないって事を。

「そうかぁ。辛いね。いくら好きになっても後10日でお別れかぁ・・・ で、あんたどうすんの?

まさか、これで終わりだね、バイバイって事ないよね。」

珍しく私の事にむきなる姉が可笑しかった。

その夜、私は考えました。残された日をどう過ごすのか?って。

勿論結論は出ませんでした。

成り行きに任せる、しか思いつきませんでした。

松田君も同じ様な事思ってたみたいです。

別に何処に行くって訳じゃなく、兎に角彼方此方行きました。

その全てが私と彼のの思い出創りでした。

あと2日で終わりの日。

珍しく彼が「今日は俺の家に来ないか?」

って電話がありました。

何となく分かりました。

手もつないでいないし、キスなんて・・・・

私も興味と言うか、彼の温もりを感じたいという気分でした。

流れで抱かれても・・・と言う気もありました。

ただ、私の思ってる抱かれると言うのは

裸で抱かれると言う物ではありませんでした。

不安な気持ちと、あと2日でお別れという淋しい気持ちで、

浮かない顔だったと思います。

彼の家に行きました。

「おう、上がれよ。」

初めて入る男の部屋でした。

「秋葉、どうした?気分悪いのか?」

「松田君さ、私の事、どう思ってる?って言うか どうしたい?」

「はぁ?どうしたいって言われても・・・。好きだよ秋葉の事、前から、ホントに好きだよ。」

私は自分でも信じられないけど、

松田君に抱きつきました。

キス出来ない様に胸に顔を埋めて、

しっかり抱きつきました。

松田君も私の肩をしっかり抱いてくれました。

そのまま暫く時間が経ったと思います。

実際は1〜2分だったのか、5分だったのか・・・・

「秋葉、俺達何もない方がいいと思うんだ。俺は凄くお前好きだし、正直裸にしたい。でも、俺は明後日アメリカに行くんだ。東京じゃない、アメリカだよ。ここでお前と何かしても、それで終わりになると思う。だから、何もない方がいいと思う。綺麗事だけど・・・」

「それは女が言うセリフでしょ?私、あんたが思ってる程幼くもないし、清純でもないよ。普通な女だよ。」

と言うと私から唇を合わせました。思ったより緊張しなかったと思います。

ただ、キスって唇を合わせるだけのものと思ってはいましたが・・・・

私の唇を 彼の舌が割って入って来るとは思ってもいませんでした。

歯と唇を噛締めている私に

「お前さあ、やっぱ普通の女じゃないじゃん。今時キスするのに、歯を食いしばる女が普通か?初めてなのは分かるよ。お前が他の男とキスしてる絵が浮かばない。で、ファーストキスが俺でよかったのか?」

「うん。松田しか居ない。」

私から唇を開けてキスしました。

脱がせ易い様に着て来たブラウスとカーディガン。

今で言う勝負とまではいかないけど、

1番気に入ってる下着。

上下お揃いの・・・

彼のベッドに押し倒されて、

脱がせ易い様に腰を浮かせたり、

ブラは自分でとったりした記憶はあります。

彼の堅いモノが私の間に入って来たのも・・・・

ただ、痛くて痛くて、どうしてこんな事が気持ち良いのか

さっぱり分かりませんでした。

お腹の辺りにベトベトしたのが付いてて、

彼がティッシュで拭いてくれたのも。

「秋葉、ごめんな。俺もわかんなくてさ。痛かったろ?無理しなくてよかったのに。」

抱きしめてくれたまま、彼が耳元で囁きました。

「いいよ。松田でよかった。初めてはどんな人とするのか、色々想像はしてたけど、まさか松田とはね。でも本当によかった、あなたで。」

ずっと抱き合ったまま、私は涙が止まりませんでした。

「ごめん、秋葉。俺は・・・」

「違うの。会えなくても良い。今まで貴方の存在に気付かなかった私が情けなくて。こんなに好きになるならもっと早く会って、もっと早く抱かれて、もっと早く別れたかった。」

彼も涙を流していました。

良かった。嘘じゃなくて、貴方の気持ちが。

いよいよ、その日。

駅まで見送りに行くと、彼の両親から挨拶されました。

「あらぁ、秋葉さん。綺麗になって。貴方も東京に行くんですって?良かったわね。あの子に早く帰って来る様に言って下さいよ。わざわざアメリカ迄行かなくても、英語の勉強なんて出来るのにねぇ。」

「はぁ、そうですね。」

と話を合わせていました。

彼と目が合いました。

彼のバスケの友達も沢山来ていました。

目で向うに行こうって言っていました。

「悪い、トイレ。」

彼が言うのを聞いて、公衆私は電話の方に歩いて行きました。

トイレの前に公衆電話があります。

「秋葉、暫く会えない。でも、絶対じゃない。待っててくれとも言わない。でも、忘れてくれとも言わない。じゃ。」

軽く私の唇にキスすると、

又皆の方に歩いて行きました。

それが彼、松田君と会った最期でした。

初めての人。1回だけのセックス。

それから17年後。

彼の名前を久し振りに聞きました。

いえ、見ました。

9月11日。日本企業の行方不明者。

死亡確認。マツダ ジュンイチ(35才)

ごめんなさい。つまらなくて、長くて。

私は思い出しながら、書いていました。

思い出すと書きたくなって・・・・

でも、初めての経験の所は、想像でも書けませんでした。

覚えてないんです。どんな事したのか、されたのか。

その後はそれなりに経験して、今では良き?妻、良き?母親ですが。

色々、御批判もあるでしょうが、お許し下さい。