自画撮りのヌード写真を見せてくる妹

妹は小学校の頃からタレント活動(モデル)をしていた。
俺の小学校の卒業式に父親しか出ていなことをみても、その頃(小3)にはもう活動がそれなりに本格化していたことが窺える。
時おり仕事のままの恰好で帰ってくることがあって、そんな時は決まって俺に写メを撮る役が回ってきた。

(仕事場で散々モデル仲間たちと撮っているのに、なぜ家に帰ってまで?)とも思ったが、自室の机の前で撮るってことにこだわりがあるみたいだった。

当たり前のことかもしれないが、妹は基本大人びた格好をして(させられて)いる。
およそ実用に向かないと思われるビニールっぽくて硬そうに立っている襟。
胸元がざっくり開いてはいるけれど、特にはち切れるものもなく・・・。
とにかく化粧が凄い。
背恰好が同じであれば、別人が目の前に立っていても見分けられないかもしれない。

(もう画像の保存領域が少ないな)などとぼんやり考えていると、すでに妹はどんどん脱ぎ始めていて、気付くと非難の視線がそこにあるから俺は慌てて退散する。

しばらくすると母親から必ず内線がかかってくる。

(まったく・・・学習能力というものがないのか?)

最初、俺はそう思っていた。
母親の用件は風呂から上がろうとする妹にバスタオルを運ぶことで、稀に妹から直接かかってくることもあった。
妹の仕事に付き添った母親は帰宅するや否や家事に忙しい。

「晩ごはん、何食べたい?」

その問いに、俺はほとんど満足に答えたことがなかった。
今思えば、妹に掛かりきりの母親が俺にそれなりに気を遣ってのことだと理解もできるが、当時はそこまで物事を深く考える習慣がなかった。

妹のバスタオルは自室の籐籠の下段に入っている。
パンツは中段で、ヘソの隠れるタイプがほとんどだが、中には大人の女の人が穿くようなセクシーなものも存在することを俺は知っていた。
ブラジャーに関してはいまだに見たことがなかった。

(ていうか、見られることを想像できんのかな、あの子は?)

バスタオルを待つ間、妹は立って顔からシャワーを浴びているのが常らしかった。

「ほい」と気の抜けた俺の声に即座に反応して、バッとドアを引き開ける。
湯気の中に、まだちんちくりんな裸体が浮かび上がる。
俺はこのときの妹の素顔がいちばん好きだし可愛いと思っている。
裸であることはオマケだ。
妹はそんな俺にはお構いなしでバスタオルを頭に巻きながらドンと一歩。
俺は2歩も3歩も退いて場所を空ける。
後ろ姿にて「サンキュ!」。
タイミングがおかしいだろ、それ。

礼のつもりなのか意図的に尻を振ることもあったが、性的なアピールにはほど遠く、ただもうそのプリケツが可愛いので全面的に俺は許すわけだが。
そんな格好で妹は結局母親に叱られるまでソファであぐらをかいているだろうと、俺は毎回見ずとも知っている。
どうしても観たいテレビがある場合は、俺もリビングに残るからだ。

半開きになった割れ目から具が覗くんじゃないかと気を回す兄。
視線を逆探知されるのが怖くて、妹方面には迂闊に向けもしない。
それでいて俺は、そんなビジュアル面よりソファに直に接触しているであろう具と肛門のことが情けないほどに気にかかっていた。

それから、父の単身赴任→お赤飯→揃って卒業の順だったか。
父方の祖母の死去がどこかに入るのだが、それはまあいいか。

赤飯を境に、妹が俺に意図的に裸を見せることをピタッとやめた。
それでも、入浴中に携帯が鳴ったように聞こえたのか、リビングに裸で走り込んできたりしたこともあったし、異性として兄を拒絶したって風ではなかった。
もう乳房が相応にゆさゆさ揺れるし、俺のほうがよほど照れて顔を背ける始末だった。



あれは確か初詣の帰りだったと思うのだが、それは家族が久しぶりに揃っての外出で、父母がお土産を買うとかで、ふと妹と俺だけになる瞬間があった。
手袋をした両手で温かい缶ジュースを包みながら妹が言った。

「お兄ちゃんて、あたしのファンだよね?」

その妙なシリアスさがたまらずに、俺は半笑いで髪に付いた雪を振り払う仕草に乗じて曖昧にスルーをしてしまった。

卒業と同時なのか、妹は芸能活動を休止してしまった。
誰も俺には知らせてくれなくて、母親に「最近、アヤ(仮名)の仕事は?」と聞いて初めて知った。
以前からの付き合いでどうしてもという場合以外はもう受けないらしい。
ああ、それで父の単身赴任についての賛否を一応尋ねられたのか。
この単身赴任を受ければ退職金のランクも上がるらしく、とてもじゃないが反対できた雰囲気ではなかったけれど・・・。

父の単身赴任のことはさておき、あの時に強く返事をしてやっていれば妹は芸能活動を辞めなかったのかとも少し悔やんだが、さすがにそんなことで決まるものでもなかろうと自答して納得することにした。

俺にとっては見慣れたセーラー服を身にまとって妹は中学に。
そして俺には彼女というやつが生まれて初めてできた。
俺は高校生になって初めて携帯を持った。
最初に届いたメールは妹からで、『保存しといてね』とだけで本文はなし。
写メが添付されており、それは風呂上がりに左手で胸を隠しながらの自分撮り画像だった。

『わざわざメール送信しなくていいから・・・』

俺は努めて平静を装って返した。
2人して家にいるの時のやりとりだから、すぐに妹が?顔で現れた。

「裸みたいな写真送るなよ。恥ずかしいやろ?」

「みたいじゃなくて、裸だよ。妹の裸で変な気起こす?」

あっさり逆襲されて、それには真っ向から返せずに、「保存しておくのが目的ならメモリーカードに溜めておけばいい」で落着した。

それから何日経ったのか、俺の机の上にメモリーカードが置いてあった。
今では滅多にお目にかからないminiSDカードだったのでよく覚えている。
当時家は“PCは一家に一台”状態で、メインはむろん父親であるからPC経由で作業するのにはちょっと危惧があって、テレビ番組を録画するのに常備してあったDVD-RAMという、あえて互換性の低いディスクにビデオレコーダーを使用して保存することに決めた。

試行錯誤があったのか、洗面台の鏡越しだったりと色々なパターンの後に、もう左手で胸を覆うことすらなくなって、完全なセルフヌードになっていた。
顔が写っていない代わりに下半身が写っているものもあった。
ワレメの始まる辺りに薄い陰毛が確認できた。
ピースとかキメ顔とかがなくて、全くの素の表情。
それがかえってエロさを引き立てる。
とにかく作業中は背後が気になって仕方がない。
特化していない機能だと思われ動作もやけに遅く感じる。

(俺は一体何をやって“やらされて”いるんだろう・・・?)

「手順教えるから自分でやれよ」

確かに一度は言った気がするのだが、実現しなかったところをみると何だかんだで巧くかわされたのに違いない。

ディスクは必ず妹に手渡しで渡すことにしていた。

「どうだった?」と感想を聞かれることもあった。

「どうって・・・まだ子供だな」

「やっぱ見るよね~w」

それなりに切り返したつもりが、見事に釣られた感があった。
けれど、この子供扱いが妹のどこかに何かに火をつけたってのもあるのかもしれない。

妹がうろちょろしてますので、ここまでにします。