高校時代、俺はブラスバンド部だった。
音楽系の部ということで男子より女子の方が多かったけど、みんな仲の良い友達のような感じで、恋愛にはあまり発展しないでいた。
 中には付き合ってる奴らもいたけど、うちの部は、というか、ブラバンは“体育会系文化部”と言われるほどハードで練習時間が長く、デートする時間が取れなかったり、周りにいる別の異性に余計な嫉妬をしてしまったりして、なかなか続かないカップルが多いみたいだった。
うちの部では、毎年6月に定期演奏会があって、そこで3年生は引退になる。
 俺らは最後の演奏会に向けて、部活に打ち込んでいた。
4月。
 高校生活最後の1年が始まり、卒業した先輩たちに代わって新1年生が入部してきた。
 普通、思春期に野郎が集まれば、「誰々が可愛い」だの、「胸が大きい」だの、そういう話も出るんだろうけど、その頃、俺らは最後の定期演奏会のことで頭がいっぱいで、そんな余裕はなかったように思う。
そして、その新入生の中に、彼女はいた。
 (仮に『サナ』としておきます)
サナは童顔で、まだあどけなさの残る可愛らしい感じのコだった。
 小さい顔に不釣合いの大きなフレームのメガネをしていた。
 イメージ的には名探偵コナン。
新入生のパートが決まり、サナは俺と同じパートに入ってきた。
サナ「よろしくお願いしますっ!」
俺「よろしくね。前から楽器やってたの?」
サナ「いえ、やったことないんです」
俺「そっか、じゃあ吹けるようになるまで大変だけど、頑張ってね」
サナ「はいっ!」
最初はこんなやりとりだったと思う。
 ただその日からなんとなく、少しずつ、俺の視界の中にサナは入ってくるようになった。
「先輩こんにちはっ!」とか、「今日も終わるの遅いんですか?」とか、他愛ないやりとりなんだけど、なんだかやたらと元気がよくて。
普段の練習のほかに、当然授業もあって、本番が近づくにつれてバテバテになっていたけれど、いつからか、サナの挨拶に元気づけられるようになっていた。
 でも表向きは照れもあり、素っ気ない態度をずっととっていた。
あっという間に、定期演奏会当日。
 大きなトラブルもなく無事にコンサートは終了し、僕らは引退。
 その日の打ち上げで、パートの後輩から花束を受け取った。
 サナは後ろの方で、笑顔を見せていた。
次の日、演奏会で使った楽器などを片付けに部室へ。
 他のみんなも来ていて、同じ3年生の奴らと、「終わっっちゃったねぇ」などと感慨に耽りながら、後輩へ受け継がれる楽器を念入りに手入れした。
 することがなくなった後も、みんな名残り惜しそうに帰ろうとしなかったが、なんとなく手持ちぶさたになったので、俺は先に帰ることにした。
 休日でひっそりとした廊下を通り、靴箱のところで靴を履いて、校舎を出ようとした瞬間、後ろから声がした。
「先輩っ!」
振り返ると、サナが走ってきた。
サナ「私も帰るところなんですけど」
俺「・・・そっか」
俺は相変わらず素っ気ない返事をして、校門に向かった。
 サナは後からついてきた。
 二人とも無言のまま、校門へ。
「先輩?」
サナが立ち止まった。
サナ「昨日はお疲れさまでした」
俺「あ、うん。ありがと」
サナ「ソロ上手くいってよかったですね」
俺「うん、そうだね。緊張したよ~」
最初はお互いぎこちないやりとりだったが、だんだんと二人とも笑顔になった。
 それから、いつものように他愛ない話が続いた。
俺「でも部活終わっちゃったな~」
サナ「そうですねー、もう音楽室には来ないんですか?」
俺「そうだね、あんまり来れなくなるね」
サナ「そうですか・・・」
それまで笑顔だったサナの表情が急に沈んでいく。
 俺も戸惑って言葉が出なかった。
しばらくの沈黙の後。
サナ「私、先輩とこうやって話したりしてると、なんだかドキドキして・・・」
俺「・・・」
サナ「なんだろう、こういう気持ちって・・・」
サナの言葉に、何も言えない俺。
 こうやって女の子から告白されたのは初めてだったので、何も考えられなくなってた。
 心臓だけが口から飛び出そうな勢いで高鳴っていた。
 それでも精一杯、冷静を装って口を開いた。
俺「途中まで一緒に帰ろっか」
サナ「はいっ!」
サナは再び笑顔になった。
 そして俺の左手をサナはそっと握った。
 帰り道、何を話したかは覚えてない。
 ただ、左手のぬくもりだけが残っている。
別れ際、俺の方から改めて告白した。
 いつからか、気になっていたと。
 サナは嬉しそうに聞いていた。
それから俺らは、時々一緒に帰るようになった。
 同期の奴らは気づいていなかったが、部の後輩たちはわかっていたようだ。
しばらくして、演奏会の反省会で、再び俺は部室へ顔を出した。
 いつもの顔が並ぶ中、反省会は終わり、完全に部から引退した。
その日の帰り道。
サナ「先輩、あの、今から私の家に、来ませんか?」
俺「え?」
サナ「今日、家に誰もいないから」
俺「そ、そうなんだ。でもさ・・・」
サナ「ダメですか?」
俺はひどく動揺していたが、サナの下から覗き込むような視線に断れるはずもなく・・・。
家に着くとサナは2階の自分の部屋に案内した。
 小奇麗に整理され、カーぺットやベッドのシーツが暖色系でまとめられた女の子らしい部屋だった。
サナは「ちょっと待っててくださいね」と1階に降りていった。
俺はドキドキしながらキョロキョロと部屋を見回すと、机の上に写真立てがあった。
 そこには飾られていたのは、演奏会の打ち上げの時にパートの後輩たちと撮った写真。
 サナは2年生をさしおいて、前列でしゃがむ俺のすぐ後ろをさりげなくキープしていた(笑)
しばらくするとサナが飲み物を持って戻ってきた。
 別の部屋で着替えたらしく、長袖シャツに短パンというラフな格好になっていた。
 俺はますますドキドキしたが努めて冷静を装い、いつものように他愛ない話を始めた。
 話は俺の受験勉強のこと、そして大学のことへ。
サナ「え、じゃ、先輩、家を離れるんですか?」
俺「うん、そのつもり。受かればの話だけどね」
サナ「そしたら一人暮らしかぁ。・・・遊びに行ってもいい?」
俺「うん。料理とか作ってくれよ」
サナ「じゃあ、今から練習しておきますねっ」
そう言って笑いながら、俺に寄り添うサナ。
 ドキドキしながら俺は抱き締めた。
 その腕の中でサナは体を反転させ、顔を近づけてきた。
 それまで一緒に帰る中で、キスは済ませていた。
 その時と同じように、俺は唇を重ねる。
 顔を見合わせた後、もう1度、長いキス。
 二人だけの空間にいることがそうさせるのか、いつしか舌を絡ませた。
「んっ」とサナが息を漏らす。
お互いの心臓の鼓動が伝わるようだった。
しばらくキスをするうち、サナは自分から後ろに体重をかけた。
 それに引っ張られる俺。
 押し倒す格好になって、俺はふと動きを止めた。
 これから起きようとしていることが、まだ理解できないでいた。
 ただ、俺のモノだけは、今までにないほど大きくなっていた。
「先輩・・・」とサナは俺をさらに引っ張る。
普段、学校では見せないサナの表情を見た時、自分の中で何かが切れた。
ゆっくり、サナのメガネを外す。
 瞳は、俺をまっすぐ見ていた。
 俺はサナに体重を掛けないように覆い被さり、再び激しくキスをした。
 そうするうちに、サナは俺の左手を取って、自分の胸へ導いた。
 俺は少し驚いたが、導かれるまま胸に触れた。
 柔らかなサナの胸の感触が左手に伝わる。
 着替えた時にブラは外したようだ。
 ちょうど手のひらに収まる程度の大きさだった。
 初めて感じる手触りに感激した俺は、腰のところからシャツの中に手を入れ、直接触れてみた。
 手のひらに乳首の感触があった。
「あっ」
サナが体をよじらせて息を漏らす。
 その声に俺は完全にスイッチが入ってしまい、夢中で胸を揉んだ。
「んっ、んっ・・・」
サナは小さく声をあげた。
 俺はシャツを脱がせると、サナの胸を見つめた。
 色白の肌、薄い茶色の乳首が可愛らしい胸だった。
 恥ずかしそうな、嬉しそうな、微妙な表情でサナは俺を見ている。
 俺は乳首にキスをすると、その胸をできるかぎり優しく愛撫した。
 しばらくして俺は、胸にキスしながら太ももへと手を伸ばした。
 女の肌ってこんなにスベスベしてるのか、と妙に冷静に思ったりした。
 少しずつ手を上の方に移動させ、そして短パンのすき間から手を入れて、サナの秘部に触れた。
「はぁっ」と、サナが再び声を漏らす。
俺はさらに興奮して、下着越しにその部分に沿って手を動かした。
 サナは目を閉じて「はぁ、はぁ・・・」と息を乱している。
 触れている部分が湿っているのがわかった。
俺はサナの短パンと薄い水色のパンティを脱がせた。
 サナの秘部が露わになる。
 幼い頃、同級生や妹のは見たことがあったけど、それと全く違う形をしていたので少し驚いた。
 俺はその割れ目に沿って、そっと指を動かす。
「んっ・・」
サナは一瞬ビクッと体を震わせたが、目は閉じたままだった。
 俺はしばらく指で愛撫し続けた。
と、不意にサナの手が俺のモノに触れた。
 俺は思わずサナから離れる。
 でも手は触れたままだった。
サナ「あー、なんか大きくなってる」
俺「サナがそうやって触るからだろー?」
サナ「へへっ」
いたずらっぽく笑ってサナは起き上がると、「先輩も・・・」と俺のシャツのボタンを外してくれた。
なんだか恥ずかしくなり、途中からは自分で脱いだ。
 裸になった俺らは、しばらくの間、抱き締め合った。
「好き」というサナの声。
「俺も。大好きだよ」と応えた。
サナを抱き締めながら、俺はどうしようかと考えていた。
 こんな展開になるとは思ってなかったから、コンドームは持ってなかった。
 かといって生でするほどの度胸もなかった。
どうすればいいか分からないでいると、「あ、そうだ」とサナは、近くにあった引出しを開けた。
中から取り出した小さい箱。
 コンドームだった。
 兄の部屋からこっそり拝借してきたらしい。
なんだかその用意周到さに、俺は苦笑するしかなかったが、「ありがとう」と袋を開け、自分のモノにコンドームをかぶせた。
さっきから俺のモノは十分に硬くなっていたので、特に問題なく着けることができた。
 もう1度サナをゆっくり押し倒し、指で入口を確認した。
 思ったより下にあるんだなと思った。
俺「いい?」
サナ「・・・はい」
俺は、少しずつ、入れていった。
「痛っ」
サナの表情が歪む。
俺「ゴメン」
サナ「・・ん、でも大丈夫、です」
俺はサナにキスをして、ゆっくり奥へ挿入した。
 そして、1つになった。
サナの中は暖かく、入口付近が特に締め付けられるようだった。
 痛そうにしていたので、しばらくは入れたまま動かないでいたのだが、しばらくするとサナも慣れてきたようで、苦しそうな表情が消えていった。
俺「大丈夫?」
サナ「うん、まだちょっと痛いけど」
俺はぎこちないながらも腰を動かし始めた。
「痛っ、いっ、んっ・・・」
サナの表情が歪む。
俺「ゴメン」
サナ「ううん、止めなくて、いいです・・・」
俺はサナの表情を見ながら、しばらくゆっくりと腰を動かした。
 そうするうち、サナの吐息が変わってきた。
「んっ、んっ、あっ・・・」
俺は少しずつ動かすスピードを上げてみた。
 ぎこちなさは相変わらず、だが。
「ああっ、いっ・・・」
サナは俺の手を握り締めて目を閉じたままだったが、少しずつ気持ちよくなってきたみたいだった。
「あんっ、いっ、ああっ、んっ・・・」
サナの中は愛液で満たされてきて、俺も少し楽に腰を動かせるようになっていた。
 サナの可愛らしい声を聞きながら、俺は夢中で腰を動かしていた。
 ただ、それでもまだ痛みはあったようだ。
 時々切なそうな表情になり、その度に入口が締め付けられた。
 が、逆にそれは俺には刺激となった。
動かすのをゆっくりにしたり、キスしたり、胸を舐めたりしながら堪えていたのだが、サナの何度目かの締め付けで、俺のモノは限界になった。
俺「あっ、イク・・・」
サナ「ん、うん・・・」
サナは切なそうな表情のまま頷いた。
 俺は、サナの中でイッた。
 サナの瞳は、潤んでいた。
俺「痛かったでしょ?ゴメンね」
サナ「ううん、平気です」
少し出血もしていたし、きっと痛かったと思う。
 それでも、サナは首を左右に振って、精一杯の笑顔を見せてくれた。
 その表情がたまらなく愛しくて、俺はサナをぎゅっと抱き締めた。
サナ「先輩、すっごいドキドキしてますね」
俺「うん、緊張してさ」
サナ「・・・でも・・嬉しい」
俺「うん。俺も」
俺らは何回もキスをして、そして、しばらくの間、サナのベッドで抱き合っていた。
後日談。
 こうやって振り返ってみるとホント、完全にサナの方が主導権握ってます。
 色々と、積極的なコでした。
 でも、これがサナとの唯一のセックスになりました。
その後しばらく付き合ってましたが、夏を過ぎた頃から、俺が受験勉強で精一杯になってしまい、会う事もままならなくなって自然消滅のような形に。
 サナが一緒に居たいと言ってくれた時、居てあげられなかったことは心残りかなぁ。
 今のように携帯電話があれば、もう少し違っていたのかも、とも思いますが。
もう何年も会ってないけど、どこかで楽しく暮らしていてくれれば、それでいいです。
おしまい。

