婚約者が同期と浮気してた寝取られエッチ体験

俺には婚約者がいました。

就職後に飲み会で知り合った女の子で、会った当時はお互い24歳でした。

初めから可愛いなって思ってて、席が隣同士だったのがきっかけで仲良くなり、付き合い始めました。

彼女を仮に真紀子とします。

真紀子は、性格は大人しめで、色白のやや小柄な体格をしていました。

バストはかなり大きい方で巨乳の部類に入り、ウエストは細くヒップはやや大きめで俗に言う”えっちなからだ”でした。

俺が残業から疲れて帰ってくると、料理を作って待っててくれてるような、優しくて気立ての良い女の子でした。

お互い酒が好きな方で、デートの時にはよく居酒屋やバーに行き、楽しく飲んでたものでした。

セックスはお互い初めてではありませんでしたが、体の相性は良く、真紀子は俺とするようになってから初めてイクようになったと言ってました。

付き合って2年半の後、俺に異動の話があり2年ほど地方の支社に行く事が決まったんですが、

「離れるのは辛くて嫌だ、そんな辛い想いをするなら別れる方がいい」

と、真紀子が泣いていた時に、プロポーズをしました。

帰ってきたら必ず結婚しようと話した時の、真紀子の泣いたような笑ったような顔を今でも覚えてます。

結納を済ませ転勤した後も、お互いマメに連絡を取り合い、休みの時は飛行機に乗って会いに行ったものでした。

そして転勤から1年ちょっとほど経ったある日。

俺の兄夫婦の不妊症の原因が、兄の無精子症である事が判明し、俺も検査する事になったんです。

結果は、俺も無精子症でした。

目の前が真っ暗になり、体がガタガタと震えました。

自分の体の欠陥についてのショックも大きかったのですが、真紀子と結婚しても子供が出来ないといった事実が怖かったんです。

真紀子は子供好きな方で、真紀子の姉の子供の写真を見ながら、

「私にも可愛い赤ちゃんが出来るかなー」

と言ってた程でした。

この事が真紀子に判ったら捨てられるかもしれないと思うと、恐ろしくて仕方がありませんでした。

しかし黙っておく訳にもいかず、本来帰る予定の無いその週の週末に、急遽真紀子の所に帰りました。

いつもなら前もって連絡を入れてから帰るんですが、真紀子と話すのがまだ怖かったので、何も伝えないままの帰郷でした。

真紀子の住んでるマンションの前に夜の8時頃着きましたが、真紀子の部屋の明かりは点いていません。

携帯に電話したけど繋がりませんでした。

ドアにも鍵が掛かっており、どうやら外出してるようでした。

この時、俺の元いた部屋は転勤の際に解約しており、帰郷の時は真紀子の部屋に泊まっていた為、彼女が帰ってくるまで居場所がありません。

(合鍵は持っておらず、俺の実家は遠い為わざわざ帰る気がしませんでした)

仕方なく、近くの繁華街に行き軽く食事をした後、馴染みのバーに行って暇を潰す事にしました。

バーの入り口まであと10数メートルまで来た所です。

入り口から見馴れた人物が出てきました。

真紀子でした。

思わず声を掛けようとしたら、真紀子の隣に男がいました。

俺の見覚えのあるヤツで、それは同期入社したSでした。

俺とは結構仲が良く、転勤の前はたまに一緒に飲みに行ってる友達で、既に結婚し子供も一人いました。

真紀子とSは、俺を介しての顔見知りであり、たまに3人で食事をしてた程度の知り合いだったんです。

二人はバーから出てくるなり、腕を絡ませて身体をくっつけあいながら、俺の居た所とは別の方向へ歩いて行きました。

その姿は、どう見たって恋人同士の様でした。

俺は、暫く体が固まった様に動けませんでした。

なんだこれ?

何で真紀子がSと一緒にいるの?

二人を見失いそうになった俺は、ようやく慌てて二人の後を追いました。

追いながら、嫌な予感が一杯でした。

二人が歩いていく方向は、真紀子の部屋があるマンションです。

後をつけていた時の俺の顔、多分凄い顔してたと思います。

すれ違う通行人が、ギョッとした顔をしてましたから。

多分送って行くだけで、その後バイバイなんだろ、今日はたまたま一緒に飲みに行って、真紀子は酔っ払っていると抱きついたりする癖があるから、今はただ酔っているだけなんだ。

だけど違ってたらどうしよう、まさか浮気、不倫じゃないだろうな?

いつから?

もうヤッちゃってるのか?

俺がいない間にいつの間に?

そんな事が頭の中を駆け巡ってました。

追いながら、俺は二人に声を掛ける事が出来ませんでした。

今でも考えると情けないんですが、多分二人を追ってる俺に気付かれる事が凄く怖かったんです。

二人は真紀子のマンションの前まで来た後、立ち止まり小声で何か話している様でした。

何か喋っているのは聞こえますが、内容までは判りませんでした。

別れの挨拶だよな、このあと

「また明日」

って言って、帰るんだよな。

そう考えながら心臓がバクバク鳴ってました。

嫌な汗が体から出ていました。

しかしその後の光景は、思った以上に衝撃的でした。

真紀子がSの首に腕を絡ませると、ぎゅーっと抱き合いながらキスしたのです。

かなり激しいキスでした。

軽い挨拶程度のものじゃありませんでした。

んふ、ふうっと言う吐息が真紀子から聞こえてきました。

俺のよく知っている、感じた時の声です。

Sは片手で真紀子の腰をまさぐりながら、もう片方の手で胸を揉んでいました。

でっかい胸をもまれる度に真紀子の体がビクンッて小さく震えてました。

キスを終えた後、二人はマンションの中へ入って行きました。

真紀子が自分でSの手を取って、です。

その間、俺は身動き一つ取れずに固まったままでした。

間も無く真紀子の部屋の明かりが灯りました。

その時、俺の携帯に真紀子から着信が入りました。

真紀子「もしもし、わたしだけど。Kちゃん(俺の名前)、今日電話した?」

俺「う…、うん」

真紀子「ごめんね、電話取れなくって。職場の友達と一緒に食事してたの。ちょっと気付かなくって」

俺「そうなんだ…」

真紀子「もう家に帰ってきて、これから寝るからね。じゃあ、おやすみなさい」

俺「あ、ちょっと…」

真紀子「きゃっ…、あっ、なに?」

真紀子のどこか狼狽えた様な声が聞こえました。

明らかに、何かされていそうな感じでした。

本当は、何でSと一緒に居るんだって聞きたかった。

何でキスしてたんだって聞きたかった。

しかし、頭と口がまるで繋がってないかのように、俺の口から出たのは、本当につまらないありふれた事だけでした。

俺「どうしたの?具合でも悪い?」

真紀子「な…、なんでも無い…。うん、また電話するね」

電話が切れました。

もう、その時既に俺は錯乱していたと思います。

傍から見ると、下着泥棒か痴漢としか見えない様な感じで、マンションの塀を乗り越えて、一階にある真紀子の部屋の窓を覗きに行ったんですから。

明かりが点いている真紀子の部屋の窓には、もちろんカーテンがしてありましたが、カーテンの隙間から中の様子を見る事ができました。

そこで見えたのは、下半身丸出しでベッドに座っているSと、Sの股間に顔を埋めている上半身裸の真紀子の姿でした。

ベッドの上には、二人が脱いだ服が脱ぎ捨てられていました。

真紀子はかなり几帳面な方で、服を脱ぐときは必ずハンガーに掛けたり畳んだりするんですが、この時はいかにも急いで脱いだように、無造作に上着とブラウス、そしてブラが散乱してました。

そしてその上には、同じく脱ぎ捨てられたままのSのズボンとトランクスが。

要するに、真紀子の方が真っ先に服を脱いだか、Sに服を剥ぎ取られ、服をたたむ暇も無くSのちんぽにむしゃぶりついていた状態だったのです。

俺の時は、そんな事一度もありませんでした。

転勤して滅多に会えなくなり、やっと会えた時のほぼケダモノのような俺が襲いかかっても、服を整えるまでは必ずお預けをくらってたんです。

凄い喪失感でした。

つまらない事かも知れませんが、俺にも許してなかった事をSに許していた事がすごく嫌でした。

窓には鍵が掛かっており、きっちり閉まっていたため、二人の声はほとんど聞こえませんでした。

しかしその分、目に入る光景は強烈でした。

真紀子は凄い勢いで、Sの勃起したちんぽをしゃぶっていました。

綺麗な髪を振り乱し、小さな頭が大きなストロークで上下に揺れ動いていました。

こちらからは、真紀子の姿は後姿と横顔しか見えず、はっきりとした表情は分かりませんでしたが、Sはほぼ真正面を向いて座っていた為、気持ち良さそうなツラが丸見えでした。

野郎のアノ時の顔なんざ、一生涯かかっても見たくありませんでした。

しかも、相手は真紀子だし。

だけど、二人の行為を覗いてると、嫌でもSの気持ちよさそうな顔が目につきました。

この時の真紀子のフェラチオはすごく情熱的なもので、これと比べると、俺の時のフェラなんか覚えたての初々しい様なものでした。

何でSにはこんなに激しいフェラをしてるんだ?

俺は窓ガラスに張り付き、食い入る様に二人の行為を凝視してました。

嫉妬で歯を食いしばり、後で気づいたんだけど口の中を噛み切って血だらけになってました。

この時すでに俺のナニはパンパンに勃起し、パンツの中は我慢汁でドロドロでした。

Sは何か一言二言真紀子に言った様でした。

すると、真紀子はフェラチオを中断し、Sは頭をこちら側に向けてベッドに横になりました。

お互い全裸になると、真紀子がSの上に覆い被さり、Sの下半身の方へずれて行き、今度は真紀子の体の真正面がこちらに曝された形となりました。

小柄な体に不釣合いな程大きいオッパイが、真紀子の動きと共に重そうに揺れてました。

ピンク色のやや小さ目の乳首が勃起していました。

真紀子は嬉しそうに笑いながら、舌なめずりをしていました。

今まで見た事の無いような、いやらしいメスの顔つきでした。

真紀子はちんぽ全体にまんべん無く自分の唾を垂らすと、その大きな乳房の間にちんぽを挟み込みました。

パイズリです。

始めはゆっくり真紀子の上半身が動き、Sのちんぽを緩やかに刺激していましたが、次第に真紀子の動きが速くなっていきました。

真紀子の乳房は、Sのちんぽを挟んだままの形で歪み、白い肌は自分の唾とSのカウパーでぬめぬめと光ってました。

Sは、パイズリされながら真紀子の乳首をつまんで刺激しているようで、オッパイが上下する度に、両方の乳首が引っ張られたり押しつぶされていました。

その度に真紀子は感じているのか、恍惚とした顔でだらしなく口を開け、舌を突き出し、涎を垂らしてました。

それでも、オッパイの動きはますます激しくなっていきました。

Sが真紀子のオッパイをガッチリわしづかみにすると、自分で激しく腰を振り立てました。

真紀子はその乱暴な刺激に相当感じたのか、締め切った窓ガラスを超えて聞こえてくるほどの大きな声を上げました。

真紀子「あひぃぃぃぃいいいっっ、おっぱいきもちいいぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!」

今まで聞いた事も無い、真紀子の獣のような喘ぎ声でした。

その声を聞いたとたん、俺はパンツの中に射精してました。

自分では何の刺激も与えてなかったのに、です。

思わず膝が砕けそうになるほどの快感でした。

荒い息をつきながら、呆然としてパンツの中に手を入れると、ドロドロした精液が大量に出ていました。

どうやらSもイった様で、真紀子の胸の谷間とオッパイ全体に精液がぶちまけられていました。

真紀子は、胸の谷間に付着した精液をそのままオッパイごと持ち上げて、啜っていました。

谷間に溜まった精液をあらかた啜りとると、今度はちんぽに付いた精液を残さず舐めとっていました。

酷い頭痛がしてました。

胸が痛くて、胃の中身を全部戻しそうなくらいムカムカしてました。

真紀子が美味そうに飲み込んでいるSの精液と、俺の手にベットリと付いた精液を見比べました。

以前、真紀子に一度俺の精液を飲ませた時、すごくむせてしまって大変な時があったんです。

真紀子が涙まで流して苦しそうだったので、もう二度と無理言わないからって必死に謝ったんだっけ。

なのに、なんで今あんなに美味そうに、なんのためらいも無くSの精液を飲み込んでるわけ?

俺って無精子症だから、健康な精液よりかなり不味いのかな?

今思うとそんな事ある訳無いんだけど、その時は本当に真剣に悩みました。

その後、Sが挿入、体位は騎上位からバック、最後は正常位でフィニッシュでした。

ゴムなんてつけてません、思いっきり中出しでした。

真紀子は自分から腰を振りたくって、窓ガラス越しにもはっきり聞こえる大きな声でよがり狂ってました。

大きい、すごい、狂っちゃう、いっちゃう、とか、俺とのセックスではほとんど聞いた事が無いようなイヤらしいヨガり声がガンガン聞こえてきました。

一番ショックだったのは、正常位の時、真紀子とSが舌を絡め合うようなディープキスを何度も交わしてた事でした。

そんな激しいキスを俺以外の男としている所なんか見たくもなかった。

真紀子、自分から求めてたし。

俺は、涙を流し、そして勃起しながらただ覗いているだけでした。

事を終えて、抱き合って寝ている二人を尻目にふらふらと塀を乗り越えた後、俺は二人が最初に出てきたバーに行ってました。

その場に乗り込んで二人に詰め寄る勇気など、その時の俺にはありませんでした。

マスターに二人がここから出てきたのを見たと伝えると、マスターは店が終わって他に客がいなくなった後、色々話してくれました。

俺が転勤になった後、しばらくしてから真紀子がSと一緒にここに来るようになった事。

来るたびに親密さが増していってた事。

酔った真紀子が、Sと何度も抱き合ったりキスしていた事。

たまに俺と真紀子が二人で来る事があったが、その2、3日後には必ずと言っていいほどSと来ていた事、等でした。

俺は呆然と、俺の知らない間にずっと真紀子とSは今日の様な事を繰り返していたのかと、改めて理解しました。

それにしても、俺といつも来ている店を浮気の現場にするなんて、真紀子もSも何考えてんだ?

俺って馬鹿にされてるのかな?

それとも、もう眼中にも無いのかなって思うと、また涙が滲んできました。

マスター曰く、普段俺と来ているこの店でデートすると、二人とも燃えるらしいとの事でした。

マスターは、転勤前に嬉しそうに婚約指輪を見せながら、真紀子との婚約を伝えていた俺が可哀相でなかなか言い出せなかったそうで、それを聞いた後、また俺は泣きました。

二十歳台半ばにもなった男が人前でえぐえぐ泣いているのは、かなり見苦しかったと思います。

その後バーを出ましたが、二人が抱き合って寝ている真紀子の部屋に帰る事も出来ず、その晩は近くのビジネスホテルに泊まりました。

結局、一睡もできないまま朝になりました。



夢や幻覚なら良いのにな…と思いつつ、俺は真紀子のマンションへと向かいました。

そこで見たのは、マンションの入り口から真紀子と一緒に出てきたSの姿でした。

別れ際に、二人は軽くキスをしていました。

ああ…、現実なんだなー…。

ホント、その時の気持ちと言えば、怒りとか悔しいとか情けない等はとっくに通り越していて、ただ哀しい、それだけでした。

名残惜しそうにSに手を振っている真紀子の姿が、まるで他人の様でした。

これが、ただ単にSが真紀子の部屋から出てきた所を見ただけだったら、その場で二人を問い詰める事も出来たんだろうけど、その前の晩に強烈な浮気の現場を見てしまった後では声を掛ける事も出来ませんでした。

結局、その日は真紀子と会う事なく、仕事先に帰りました。

その後の俺の様子はかなり酷かったみたいで、会社の上司から休めと言われたほど憔悴していたようでした。

真紀子からは、普段と変わらない様子で電話が掛かって来ていました。

その日にあった事、今日何を食べたかなどの、他愛も無い話です。

以前は、何でも無い事でもすごく楽しかった会話が、あの時からは苦痛で仕方ありませんでした。

会話の度に、またSと会ったのか、ひょっとしたら今一緒にいて、セックスしながら話してるんじゃないかと、考えたくも無い妄想で気が狂いそうでした。

真紀子からは、俺がかなり気の無い生返事をしていたように聞こえたんでしょうね。

「ねえ、ホントに聞いてる?」

と訊かれた事が、何回もありました。

そう言う事もあって、真紀子は俺の様子がおかしいと感づいてきたんだろうと思います。

あの日から1週間ほど経ったある日、真紀子がこんな事を訊いてきました。

真紀子「ねえKちゃん、最近何か様子が変じゃない?」

俺「ん?そうかな?」

真紀子「何か電話しても楽しそうじゃないし、Kちゃんから電話してくれてないし」

俺「…そんな事無いよ…」

真紀子「…ひょっとして、浮気してない?」

俺「…………」

真紀子、お前がそれを言いますか?

どんな神経してるんだ?

そんな女だったっけ?

それとも、前からそうだっただけで、俺が気付いてなかっただけなのか?

何も言えなくて俺が黙っていると、真紀子が心配そうな声で言いました。

真紀子「まさか…ひょっとして?」

俺「そんなわけ無いだろ」

真紀子「ほんとにー?」

俺「俺は、絶対、浮気なんか、しない」

思わず激発しそうになるのを押さえる事が精一杯でした。

そうとは知らず気を良くした真紀子は、こんな事を言ったんです。

真紀子「今日は、大切な話しがあるの」

俺「ん?何だよ?」

真紀子「最近、予定日になっても生理が来なくて、病院に行って来たんだけど…。今、二ヶ月だって」

……………。

…………。

………。

真紀子は、本当に嬉しそうに言いました。

真紀子「こないだKちゃんが帰ってきたとき、アレつけないでしたよね、その時かなぁ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

妊娠?

二ヶ月?

俺の?

真紀子「結婚と順序が逆になっちゃったけど、これを機に……」

真紀子が何か嬉しそうに喋ってたけど、途中から全く話しの内容がわかりませんでした。

俺「……本当に?」

俺、多分、この時は全くの無表情だったと思います。

自分の声が、遠い全然別の所から響いているのを聞いてるような感じでした。

真紀子「う、うん」

子供なんて出来るわけ無いのに?

じゃあ、誰の?

どう考えてもSだよな。

あいつ、子供が二人になるのか。

そりゃ大変だ。

真紀子とSの子供なのに、真紀子は俺の子供って言ってるし。

……………。

真紀子は、くすくす笑いながら言いました。

真紀子「嬉しい、あたしとKちゃんの、赤ちゃんが・・・・・・・・・・・・」

この時からだと思います。

俺、何か壊れちゃいました。

俺「あーははははははっ、あははははははは」

突然、俺は笑い出したんです。

真紀子「ちょ、ちょっと、Kちゃんどうしたの?」

あまりの俺の狂笑っぷりに、真紀子はうろたえてました。

俺「あーーーっはっはっはっははははは、あーははははははははっ」

笑いながら、泣いてました。

ひとしきり笑い泣きした後、真紀子にまともに返事をしないまま電話を切りました。

涙でグシャグシャになった顔を洗うため洗面台に行き、そこで俺の顔を改めて見たんですが、まるっきり逝っちゃった顔でした。

その顔を見て、また笑ってました。

戻ってくると、携帯に着信とメールが入ってました。

真紀子からでした。

“笑うなんてひどいです。信じられません”

こっちが信じられないっつーの、と、一人で携帯のメールにツッコミを入れて、また一人で笑って泣いてました。

翌日、俺は興信所に行きました。

真紀子とSの関係について調べてもらうためです。

あと、前に検査した病院で、無精子症の診断書も書いてもらいました。

あれから、何度か真紀子から携帯に電話やメールが入ってきましたが、全て相手にしませんでした。

俺以外の子供の妊娠を告げられたあの日から、俺の真紀子に対する気持ちが全く別のモノに置き換わっていました。

それから1週間もしないうちに、真紀子の両親から連絡がありました。

妊娠の事実を伝えた時とその後の俺の態度に、真紀子が酷く傷ついている、どういう事か説明して欲しい、との事でした。

俺は、来週末に帰郷するのでその時会ってお話しましょうと言って電話をきりました。

興信所からの詳細な報告は、帰郷の二日前に完成しました。

俺と最後に電話で話した後、真紀子は頻繁にSと会っていたようでした。

二人で路上でキスをしているところや、一緒に真紀子の部屋に入るところ、ラブホテルに入り、そして出てくる写真も同封されてました。

妻子持ちのSは毎日真紀子と会うわけにもいかず、3日のうち2日は真紀子と会えない日があったようですが、その日に限って真紀子は俺の携帯に電話していました。

Sが真紀子と会わなかった日と、真紀子からの着信があった日を比べると、丸分かりでした。

それを思うと、真紀子も寂しかったのかなとも考えましたが、同情や、可哀相という気持ちは全く起こりませんでした。

そして、帰郷。

会社の近くのホテルで、真紀子及び真紀子の両親と待ち合わせしました。

久しぶりの再会でした。

真紀子にとっては3ヶ月振り、俺にとっては1ヶ月振りの再会でしたが、俺の顔を見るなり真紀子が詰め寄ってきました。

今まで可愛いと思っていた真紀子の顔は、怒った顔のせいか、ひどく歪んで見えました。

真紀子って、こんな顔だったっけ……と、まるで他人の様にしか思えませんでした。

真紀子「今日は、どういう事かちゃんと説明してもらうからね!」

真紀子の両親の顔も、真紀子からは何を聞いたのかは大体予想はつきますって言うほど、険しい表情でした。

喫茶店に入り、話をする事になりました。

まず、彼女の父親が口火を切りました。

娘が妊娠した事が気に入らないのか、娘を本当に大事にしてくれているのか、真剣に結婚する気があるのか、等など。

真紀子は俯いたまま、時々上目使いで俺を見てました。

言いたい事があれば、自分で言えばいいのに……と、俺は半ば呆れていました。

そうだな、冷静になって考えてみれば、こいつも色々欠点あるんだよな。

妙にガキっぽいところとか、親離れできてないところとか、自分の世界に酔いやすい事とか。

好きだった頃は、そんな事も長所に見えてたんだな。

などと考えながら相手の話に生返事を返していたとき、真紀子が目に涙を潤ませながら言いました。

真紀子「今のまんまのKちゃんじゃ、あたし信じられない。このままじゃあたし、婚約を解消して、Kちゃんとの子供を堕ろさなくちゃいけなくなっちゃうのよ」

………………。

俺との子供・・・・・・・・・・・・か。

俺は持ってきた荷物の中から封筒を一通取り出し、中身の内容が判るように広げました。

診断書です。

三人は最初、文面の内容が良く分からなかったようで、怪訝そうな顔で俺を見ていました。

初めに気付いたのは、真紀子の母親でした。

母親「・・・・・・無精子症?・・・・・・」

そして、父親が真紀子の方へ振り向きました。

真紀子「え?」

父親「真紀子、それ、誰の子だ?」

真紀子「な、なに?Kちゃんの子に、」

ここでようやく真紀子も状況を把握し始めた様でした。

真紀子の顔色が、見る間に蒼白となりました。

母親「あんた、駄目でしょ!!」

母親も真紀子同様、顔面蒼白でした。

真紀子は顔と両手が痙攣しているかの様に、わなわなと戦慄していました。

父親「誰の子供だって!?」

父親が顔色を真っ赤にして真紀子に怒鳴るように問い詰めたところで、俺はもう一つの封筒を差し出しました。

今度はちょっと厚めの封筒で、興信所からの報告書及び写真のコピーをまとめたものです。

封筒の中から、真紀子とSが二人でいちゃついて写ってる写真を何枚か取り出しました。

写真を見るなり、真紀子はのどが詰まったような声を上げ、写真と俺をきょろきょろと見つめていました。

真紀子の両親は、写真と報告書をひったくるような勢いで受け取ると、俺の事には目もくれずに読み出しました。

真紀子は、何か訳の解らないような物を見ているような目で俺を見つめているだけでした。

小声で

「失礼します」

と言った後、俺は喫茶店から出て行きました。

扉が閉まったあと、店の中から真紀子のわめき声と、テーブルがひっくり返るような騒音が聞こえました。

その後、早々と飛行機で仕事場へと帰りました。

しばらくは、自宅に携帯にやたら多くの電話が掛かってきましたが、会社関係以外の電話は取りませんでした。

メールも次々と入ってきたので、すぐに携帯番号とメールアドレスを変更しました。

最後に真紀子と会ってから約2週間経った頃、実家から連絡がありました。

真紀子の両親が直接俺の実家に来て、事の経過を全て話し、土下座して謝りながら婚約解消を告げた事でした。

それから更に2ヶ月後。

仕事を終えて部屋に帰ってくると、入り口に真紀子が居ました。

真紀子はかなり痩せてました。

頬がげっそりとこけてました。

俺と目が合うと、真紀子は

「久しぶり…」

と言いましたが、無視して部屋に入りました。

その後、2時間経っても真紀子はドアの前に立っていたので、部屋の中へ入れました。

真紀子から、事の経緯を聞き出しました。

真紀子はかなり口篭もりながら、以下のような事を話しました。

俺の転勤が決まって寂しかった事。

Sに相談に行ったら、食事がてら飲みに行きその場で口説かれ、酔いにまかせてセックスしてしまった事。

寂しさと俺を裏切っている後ろめたさとSのテクニックが良かった為か、Sとのセックスにはまった事。

Sは結婚していてお互い割り切った関係だったから、俺とは遠慮があって出来なかった行為も躊躇い無くやれた事。

Sとはあくまで遊びで、本当に愛しているのは俺の方だと言う事。

俺が帰ってきたら、Sとの関係は清算して俺と結婚するつもりだった。

など、自分に都合の良い話しばかりでした。

聞いてて吐き気と頭痛が酷かったけど、俺はどうしてSとの子供を俺の子にしようとしたのかと聞きました。

真紀子は、あの時はまだ俺の男性不妊について何も知らず、本気で俺との間に出来た子供だと思っていたようでした。

Sとの子供だと判った途端すごく嫌になり、間も無く堕胎したと言いました。

コイツは自分の都合の為なら、平気で人殺しができるヤツなんだと思うと、真紀子の事が薄気味悪く思えてきました。

真紀子はもう一度やり直したいと言ってきましたが、俺は咄嗟に”もう別に好きな人がいて付き合っている”と嘘をつき、”こんな酷い女だとは思わなかった”と言いました。

その途端、真紀子はボロボロと涙を流しながら

「許して、嫌わないで」

と縋り付いてきましたが、俺は

「さよなら」

と言って真紀子を振りほどき、部屋から追い出しました。

最後の真紀子の表情、青ざめた顔色で大きく目を見開き、口は半開きでした。

その後、何度もインターホンが鳴りましたが、相手にしませんでした。

それから真紀子とは会ってません。

何回か部屋の前で待っている真紀子を見ましたが、その場で会社に戻って寝てました。

別の部屋に引越した後、真紀子が来る事は無くなりました。

Sは、真紀子との不倫が奥さんにバレて、間も無く離婚しました。

真紀子との破局と同時期に、俺が興信所の調査結果をSの家に送りつけたんですけどね。

満足に自分の子供にも会う事が出来なくなり、かなり高い慰謝料を請求されたようです。

しばらく経って、俺が元居た本社に復帰した時は、Sは既に退職してました。

その後のSの消息は知りません。

真紀子は俺と別れた後、酷い鬱状態になり、何回か入院したそうです。

今更ですが、この一件で俺を含めて関係者の人生が狂ったんだと思うと、自分の行動を後悔する事もあります。

俺は、それから特に恋人も無く、一人のままです。

たまに夢で真紀子とSのセックスを見る事があり、うなされながらも勃起している事があります。

これで終わりです。

俺、本当に卑怯な奴です。

Sの奥さんと子供には何の咎も無かったのに、俺の復讐心だけで家庭を壊してしまいました。

Sの事が許せなかったとしても、奥さんと子供さんの家庭を壊す権利や資格なんて無かった。

「あんな事、知らなかったらよかった」

と言う、Sの奥さんの言葉が耳から離れません。

俺自身の罪悪感と嫌悪で、慰謝料請求なんて出来ませんでした。

あと実は、真紀子が鬱で入院した時に、会いはしなかったけれど様子を見に行った事があります。

真紀子は、病室の天井を見つめたまま、身じろぎしないままの状態でした。

主治医が言うには

「鬱病は、症状が重いと全く周りの刺激に反応しなくなり、中途半端に回復してくると自殺する事がある」

だそうで、実際真紀子も何度も自殺しようとしたらしいです。

真紀子、悩みすぎてました。

俺の行いについて後悔し始めたのは、その時からです。

せいぜい悩んで入院する位のペナルティーはあってもいいんじゃないの?

そんな軽い考えでいた俺が馬鹿でした。

鬱病って、恐ろしいです。

真紀子は生きている人間なのに、まるで造花の様でした。

大元の因果関係はともかく、真紀子がここにいるのは俺のせいなんだと思うと、居たたまれなくなりました。

病棟から辞去する際、遠目から真紀子の母親の姿が見えたけど、面と向かって話すどころか視線を合わせる勇気もありませんでした。

俺はヘタレです。

それから、真紀子の面会に行く事はできませんでした。

裏切られていたとしても、好きだった女性のあんな様は見ていられなかった。

自分の行いに、最後まで責任を取れなかった。

幸い、真紀子は社会復帰するまでに回復はできたそうです。