23歳の会社員です。
私が初めて風俗に行ったのは21歳の3月だった。
東日本大震災後の1週間後だった気がする。
童貞だった。
ヘルスだった。
気持ちがいい体験をして、ヘルスやソープにハマった。
累計15回ほど。
まだまだ初心者だ。
その15人の中で特に印象に残った、私を抱いた女の話をしようと思う。
今回はA子の話をしよう。
彼女は神奈川の曙町のヘルスで私を抱いた。
私はフリーだった。
店頭で写真を見た。
かつてAVにも出演したことがあった女性だった。
さぞかし綺麗なのだろうと考えて私は彼女を指名した。
そのヘルスは痴漢電車をモチーフにした造りになっている。
風俗嬢はコスプレをして10分ほど痴漢される。
私はA子にOLの服装をさせた。
私は案内されて部屋に入った。
電車のつり革につかまって小太りな女性が私に背を向けて立っていた。
まず尻を撫で回した。
尻の肉を摘むと彼女は抵抗する演技をした。
そのあと後ろから乳を揉み、硬くなった息子を彼女の腰や尻に擦り付けた。
背後から抱きついた時、首筋から加齢臭がした。
これが悲劇の始まりだった。
胸騒ぎがした。
私は今よりもヘルス初心者だった。
うぶだった。
何も知らなかった。
受付で、「ぽっちゃりお姉さん」と紹介を受けた。
お姉さん・・・。
私はこの意味を理解できていなかった。
「興奮してるね」
擦れた低い声で彼女が振り返った。
ファンデーションを塗ったくった化け物がそこにいた。
「硬くなってる」
彼女の分厚い唇が左右に裂け、低い声が私に降りかかる。
ジーンズのファスナーが下ろされた。
ピクピクと痙攣する息子を彼女がトランクスから引きずりだした。
「おりゃおりゃ」と軽く指でつつく。
節くれだった指だった。
手は血管が浮き上がっていた。
化け物は私の服を剥いだ。
私は無抵抗だった。
(抵抗したら、目の前の怪物に息子を噛みちぎられる・・・)
そう考えた。
彼女は接客トークで私をリラックスさせようと勤めてくれた。
人は命の火が消えかける瞬間、些細なことに目を向ける。
私は彼女の懸命なトークをよく聞くことができなかった。
ただ彼女が首を傾げたり、ちょっと体を上下させた時に飛ぶ、汗を見ていた。
彼女の口から私の胸や腹部に飛び散る唾液を見ていた。
薄暗い部屋だった。
オレンジ色の光がぼんやり部屋に満ちていた。
その光を反射した、化け物の唾液と汗が美しかった。
「シャワー浴びよ」
彼女は私をシャワー室に引きずり込んだ。
シャワー室は明るかった。
化け物の顔がよく見えた。
黒縁眼鏡をかけていた。
身長は私より20センチほど低い。
口の周りと頬の間に深い溝みたいなシワが出来ていて、浮き上がって見えた。
乳の形に問題はなかった。
腹部は柔らかそうだった。
齢40代前半。
確かにお姉さんだった。
しかし人生のお姉さんだった。
かつてナチスがユダヤ人に行った許されざる罪を思い出した。
シャワー室。
命の墓場。
この時の私はユダヤの民だった。
私は彼女にAV出演について尋ねた。
彼女は答えた。
熟女として企画ものを数本とのこと。
TSUTAYAで自分のAVを見つけてほくそ笑んでいたら、店員に追い出されたこと。
「痴漢ものにも出たんだ。私が出たのはね、地方の電車の中でセックスするやつ。人が少ない時間帯に撮影するんだけど、私と男優さんの周りをスタッフの人がぐるーって囲むの。その中で服破いて立ったまま。フィニッシュは口で」
「他にはどんなものに?」
私は問答を続けた。
「あとは農家の嫁さん役でセックス。2人の農夫さん役の男優さんに畑の中やビニールハウスの中で。豚小屋の中はきつかった」
そう答えた彼女の唇は裂けたままだった。
「なぜそこまでしてAVに?」
私はそう言い出しそうになったが、口をつぐんだ。
私は他人の人生にこれ以上質問が出来る身分ではない。
「ずっと硬いままだね」
彼女はしゃがみ込んで私の息子に息を吹き掛けた。
彼女は目が良くなかった。
彼女は気が付かなかった。
息子だけではない。
私の全身が固かった。
まだ命の息吹は絶えていなかった。
しかし体は、息子は、死後硬直のそれと似ていた。
「緊張してるのかな?」
彼女は尋ねた。
「うん」
私は答えた。
これから喰われるのだ。
彼女の夕飯になるのだ。
時間は6時を過ぎていた。
早めの夕飯だ。
緊張しないわけがない。
彼女は私をシャワー室から引きずり出した。
部屋の壁ぎわに電車内のシートがあった。
人が軽く3、4人座れるくらいあった。
私はそこに投げ出された。
彼女は私の前に跪いた。
「どっちがいい?」
彼女は尋ねた。
「和食がいい」
私は答えた。
あまり肉類を使わない料理ならば生きていられると考えたのだ。
彼女の唾液が私の視界に広がった。
「残念だけど、お店の外じゃ会わないって決めてるの」
彼女は私の膝を擦りながら答えた。
「攻めたい?攻められたい?」
私は攻めたいと答えた。
鼠だって猫に噛み付く。
最後の抵抗をしたかった。
彼女は承諾した。
「ちなみに私は中華が好きなの」
私は彼女に席を譲った。
ご年配の方には席を譲る主義だ。
電車の席を譲るには彼女は早過ぎた。
そんなに老けてない。
裸で向き合うには彼女は遅過ぎた。
そんなに若くない。
うんや、全然。
私は彼女にキスをした。
うねうねした粘っこいものが私の舌を飲み込んだ。
ワレメちゃんに指を入れ、刺激した。
彼女は眉間にシワを寄せた。
深いシワだ。
マリアナ海溝並に深い。
彼女は口元に手を添え、「ブゥー、ヒィモチィ」と喘いだ。
なかなかの演技力だった。
私は興奮してかき混ぜた。
指が膣の壁に当たるたび彼女は、「バァー!バァー!」と吠えた。
彼女の顔はどこに何があるのか分からないくらい、ぐちゃぐちゃになった。
「ついに本性を出したか」と私は言った。
この化け物め、人間の姿から本来の姿に戻ったか。
「らってヒィモチィんだもん。エッチな私になっちゃう」
彼女は奇声を上げた。
何言ってんだこいつ。
「ふぁげじぐへめるのへ」
彼女が言った。
『激しく攻めるのね』
きっとそう言いたいのだろう。
しかし彼女は日本人でも、ましてやこの星の生き物でもない。
絶対火星から来た。
私はそう考えた。
攻める?違う!
退治だ!
地球を守らねばならない。
私は生まれて初めて、社会のために何かをしようと考えた。
誰にも誉められなくてもいい。
誰にも気付かれなくてもいい。
私が彼女を退治しなければ。
「アヒャハア。Sなんだね」
何言ってんだこいつ。
私は最後の攻撃を彼女に加えた。
ひたすら膣を掻き混ぜた。
「ビャアアア!ビモヂイイ、ビモヂイイ、モッホ!モッホ!」
私は攻撃の手を緩めなかった。
「バアアアアアアアア!ビグー!ビグ!ヒ゛ク゛ウウウウ!」
彼女は雄叫びを上げて体を痙攣させた。
私は使命感に燃えていた。
彼女は火星人だ。
我々の想像を凌駕する生命体だ。
徹底的に攻撃を加えるのだ。
私は膣を攻めた。
火星人は叫んだ。
「ビャヤ!ビャヤ!ヒッチャッハカラ、ボフ、ヒャメヘ!バアアアアアアアア!」
情けをかけるのは騎士道精神に反する。
そして、火星人の反撃が膣から始まった!
厳密に言うと膣ではない、尿道からである。
その時、私の顔は膣の真正面にあった。
いきなりだった。
瞬きした瞬間だった。
何かを吹き付けられた。
未知の液体が私の顔に吹き付けられた。
「ギャア!」
私は倒れた。
「大丈夫?」
化け物が尋ねた。
私は15回、風俗へ行ったと書いた。
しかし火星人からしか受けなかったサービスがある。
潮吹きである。
潮と表現したが、ションベンかもしれない。
「気持ち良くて出ちゃった」
火星人の宣戦布告宣言をBGMに私はタオルで顔を拭いた。
何があったか今でもわからない。
ともかく私は火星人に何かをぶっかけられた。
「じゃ今度は私の番ね」
私が顔を拭き終えると彼女にベッドに投げ倒された。
電車のシートとは別にベッドもある。
火星人は私の上に降り立った。
乳首を舐めてきた。
ビュビジュバ!ジュビジュバ!
激しく吸い上げてくる。
火星人は体を隈なく舐めてきた。
舌がざらざらしていた。
痛かった。
「ハアハア」
彼女の鼻息が私の肌を汚染した。
怖かった。
怖くて怖くて動けなかった。
それに、この部屋に溜まって淀んだ加齢臭・・・。
火星人は私の本丸に口を近付けた。
「ンーバ!ンーバ!」
我がタマタマを火星人は吸い込んでは吐き出し、吸い込んでは吐き出し、それを繰り返した。
「スゴい、ずっと硬いまんまだよ」
当然だ。
死後硬直が生前から始まっているのだ。
そして、その時が来た。
火星人が私の本丸を咥えた。
唾液と空気が生み出す鎮魂歌を火星人が奏でた。
「バハアー」
火星人が私を見ながら本丸を上下に舐めた。
その姿に戦慄した。
化け物が、地球外生命体が、嬉々とした表情で我がオチンチンを舐め回している。
恐怖以外のなにものでもない。
「キモヒイイ?」
火星人が交信してきた。
「ハイ」
私は屈伏した。
目は見開いていた。
頬はへこんでいた。
「ングーングー」
などと言いながら本丸が吸い上げられていく。
全身から体液を吸い上げられていく感覚がした。
「キモヒイイ?」
「ハイ・・・」
「モッホキモヒイイことしてあげる」
火星人が本丸から口を外した。
「バカッ」とか「ガパッ」とか、そんな音がした。
火星人はローションを私の息子に塗った。
冷たくてヌメヌメしていて快感だった。
すると火星人は私に跨がった。
素股である。
前後に体を揺り動かした。
「バ!バァー!」
また声を上げる火星人。
腰の動きが激しくなってきた。
息子が、痛い。
もう少し、ゆっくりがいい。
本丸が降伏を、私に要求してきた。
私が無条件降伏を彼女に申し出ると、口か素股かを選ぶよう要求してきた。
私は口を選択した。
素股は痛い。
火星人は下手だ。
火星人が本丸を咥えた。
また上目遣いでだ。
食われるかと思った。
私は目を積むって、日頃おかずにしている同級生を思い浮べた。
高飛車な女だった。
小生意気で私を見下していた。
美人でいい体をしていた。
私はいつも脳内で彼女にナース服のコスプレをさせ、中出ししていた。
私は目を瞑った。
今、息子を舐めているのはあの女だ。
「こっち見て。目を見ながらのほうが興奮するよ」
火星人が私に命令する。
「ハイ」
私は従った。
空想は私を労る。
現実は私を傷つける。
化け物だ。
キラキラ目を輝かせて私を見ている。
怖いのに本丸は快楽に包まれる。
ジャボジャボジャボズボンズボンズボン。
フェラはこんな音を立てるのか。
「イク・・・イクイク」
私が喘ぐと、火星人はスピードを上げた。
耳にまとわり付く粘着性のあるリズム。
私は火星人の口に種を出した。
火星人は収穫品を口に含んだまま私に口付けした。
お帰り、精子・・・。
「気持ち良かったね」
火星人は私の肩を枕にして寝転んだ。
私と火星人の戦いはこれで終わりである。
最後になるが、加齢臭が1時間ほど鼻孔に残ったこと、ヘルス店のトイレで吐いたこと、その店にそれから行っていないことを付け加えておこう。