これは、3年前の話なんだけど、その時俺には3年半付き合っている彼女がいた。
しかも、3年近く半同棲状態だった。
お互い趣味も合って、最高のパートナーだと思っていた。
因みにその彼女とは、同い年で25歳だった。
彼女は、社交的な方で男友達も多かったけど、それについてあまりどうのこうのいったことはなかった。
というのも、彼女はかなり事細かに日記をつけていて、俺はたま~にこっそり盗み見をしていたんだけど、そこにも怪しげな内容は無かったし、俺が好きだということがちりばめられた文章だった。
その頃、俺はちょうど働き始めたばかりで、初任給で彼女に安物ではあったけど指輪を買ってあげたりして幸せの絶頂だった。
お互い口には出さなかったけど、このままそう遠くない時期に結婚すると思っていた。
あの日までは・・・。
その日は、指輪をプレゼントした2日後だった。
半同棲といっても、俺が彼女の家におじゃましている状態だったので、彼女が俺の知らない仲間と飲みに行くときとかは、俺は実家(とても近所)に戻っていた。
その日も、彼女の大学時代の先輩達と飲みに行くという話だったので、俺は実家に帰り、脳天気に酒を飲みながらインターネットなんかをしつつ、時間を潰していた。
彼女も1時間おきくらいには、携帯メールを送ってくれていて、いつもと変わらない、良くある飲み会という感じだった。
俺は、12時くらいにはすっかり酒も回り、眠くなってきたので、『もう寝るよ』とメールを送って寝てしまった。
しかし、ちょっと使い方は違うかもしれないが、虫の知らせというのがあったのかもしれない。
結構飲んで寝たにも関わらず、朝の5時くらいに突然目が覚めた。
携帯を見てみると、『おやすみ~、家についたらまたメールするね』というメールを最後に、何もメールが来ていなかった。
その程度のことといえば、その程度のことだが、その時は何か嫌な胸騒ぎがした。
というのも、その日の飲み会のメンバーに彼女が昔好きな人がいることを、俺は知っていたからだ。
実は、元彼と別れたのも、そいつが少なからず関係していることは、例の彼女の日記で知っていた。
ただ、日記を見る限り、彼女の片思いで、今まで肉体関係なんかも一切ない事は知っていたし、今の彼女の自分へ対する気持ちを信じ込んでいたので、あまり気にしていなかった。
しかし、そのメールを見た瞬間、嫌な予感がこみ上げてきた。
俺は、すぐにバイクに乗り彼女の家まで走った。
ちなみに、この日は休日で、彼女と動物園へ行こうと約束をしていたので、別に何事もないようだったら、彼女の家で寝直そうと思っていた。
まだ薄暗い時間帯に、彼女のアパートに着くと、彼女の部屋の電気は消えていたが、駐輪場を覗いたら彼女の自転車が置いてある。
(あぁ、よかった。ちゃんと帰ってきてるな)
そう思って、彼女の部屋の前に行き、呼び鈴を押そうかと思った。
(いつも、1本の鍵をポストに入れて使っていたので、合い鍵は持っていなかった)
その瞬間、何か中で人の話し声のような物音がしているのに気付いた。
またしても、嫌な予感がこみ上げてくる。
ドアに耳を付けてみたが、確かに物音は聞こえるが、何なのかまでは分からない。
居ても立ってもいられなくなり、ベランダに回り込んだ。
(都合良く彼女の部屋はアパートの1階だった)
ベランダに降りた瞬間、俺の目に飛び込んできたのは、カーテンの下の隙間から窓際まで転がってきている、何ヶ月か前ホテルに行ったときふざけて買ったローションのボトルだった。
そのローションは、買ったとき使っただけで、洗面台の下の奥にしまってあったはず・・・。
それが、なんでこんな所に転がっているんだ・・・。
俺の思考は完全に止まってしまった。
冷静に考えれば、答えは出ている。
しかも、最初に不自然なメールを見たとき想像したより最悪の答え。
そのローションの存在が、中で行われている行為、更に少なくとも彼女が同意の上での出来事だと言うことを雄弁に物語っている。
たぶん1、2分の間、俺はその場で呆然と立ちつくしていたと思う。
その状態から脱したのは、部屋の中から聞こえてきた男の「あっ・・入った・・・」という声だった。
その声で我に返り、カーテンの下から部屋を覗き込んだ。
中の様子はほとんど見えない。
しかし、床に落ちている服は紛れもなく彼女の物。
そして、男の背中らしき物が動いているのが見える。
最初はゆっくり、それがだんだん激しくなってくる。
俺は、ただその様を夢の中の出来事のようにただ見ていた。
彼女の押し殺したような喘ぎ声が微かに聞こえる。
永遠の様に感じた時間も、本当は5分程度だったのだろう。
男の動きが止まった。
そしてカーテンの側にあったティッシュボックスから、3、4枚のティッシュを引き抜いた。
「いっぱい出たね」という彼女の声が聞こえたとき、俺の中で何かが切れた。
俺はドンドンドンと窓を激しく叩いた。
中では、慌てたように(当たり前だが)人影が動く。
更にドンドンと窓を叩くが、今度は中の反応が全くなくなった。
空はようやく白み始める時間帯、怒りと情けなさで頭がクラクラした。
それから、1時間ほどチャイムを連打したり、ドアや窓を一応近所を気にしながら叩いたり、携帯に電話をかけまくったりしたが、中は何の反応もなく静まり返っている。
そうこうしている内に朝日はすっかり昇り、人通りも多くなってきた。
警察に通報でもされたら面倒なので、とりあえず、電話とメールで出てくるように促したが、全く反応はなかった。
しばらくは、出てくるまで何時間でも張っていようかと思ったが、何もしない時間というのは、色んな事を考えてしまい頭がおかしくなりそうだった。
居ても立ってもいられなくなった時、この部屋の合い鍵をがある場所を思い出した。
それは、彼女の実家。
彼女の実家もかなり近所で、バイクなら10分もあれば往復出来るくらいの距離だったし、彼女の両親にも公認の仲だった。
彼女の家に電話をすると、彼女のお母さんが出た。
俺は、彼女の家に来ているんだけど、よく寝ているみたいで、チャイム鳴らしても出てこないから、鍵を貸してくれるように頼み、これから取りに行くと伝えた。
彼女の実家に着くと、お母さんが出てきて、「全く、あの子も寝起き悪くてしょうがないわね」などと言いながら鍵を渡してくれた。
鍵を受け取ると、俺は急いで彼女のアパートに戻った。
ずっと外で待っている間、正直俺は野郎をぶん殴ることしか考えていなかった。
呼吸を整え、彼女の部屋のドアの鍵を開け、中に入った。
すると、そこにはいつもは、俺と彼女が使っているダブルサイズの掛け布団に包まった彼女と、俺が初めて見る男がいた。
男と彼女は、一瞬寝たふりをしていたが、俺が「◯×先輩なんでしょ?」と声をかけると、彼女と男は下着姿のまま、むっくりと起き上がった。
起きあがった瞬間男が口にしたのは、「すいませんでした。俺が全て悪いんです」だった。
その台詞を聞いて、俺は怒りよりも情けなさが先に立ってしまった。
なぜって、ちょっとやそっとじゃ見つからない場所にしまってあったローションのボトルがあった時点で、控えめに見ても和姦であったのは間違いないし、彼女が積極的であったのは間違いないわけだ。
それなのに、男は自分が全て悪いと彼女をかばっているのだ。
あと、書き忘れてたけど、彼女はTBSの久保田アナウンサーみないな感じ。
俺は殴ってやろうとかいう気が一気に無くなってしまい、一言だけ「彼女と話したいから、ちょっと外で待っててくれ」とだけ言って出ていってもらった。
男が出ていき、二人だけにはなったが、お互い、何も話すことがなかった。
しばらく目も合わさず無言でその場に座り込んでいた。
俺の目には、二人で買ったソファーベッドに、ローションだか、体液だか分からないが白いシミが付いているのが映り、なんか現在の象徴のように思えた。
かなりの時間の沈黙の後、俺が聞いたのは、「それで、これからどうしたいの?」という問いだった。
彼女は「別れたくない」とだけ言った。
そこからは、堰を切ったように彼女を問いつめた。
俺「じゃあ、何でこんなことになっているんだ!!」
彼女「ごめんなさい、魔が差したとしか言えない」
俺「ふざけるな!!魔が差すとローションまで持ち出すのか!?なんで、そんな物がここに転がっているんだ!?」
彼女「全然濡れなかったから・・・」
俺「なら、なんでそこで止めなかったんだ!?そこまでしてやりたかったのか!?」
彼女「先輩に悪いと思って・・・」
俺「先輩に悪いと思って、俺には悪いと思わなかったのか!!」
彼女「ごめんなさい、本当にごめんなさい・・・」
俺「初月給で指輪プレゼントして、その二日後に浮気されて、俺はまるっきりピエロじゃないか!!」
彼女「ごめんなさい、本当にごめんなさい・・・」
それ以降は、何を言っても泣きながらごめんなさいしか言わなくなった。
こんなやりとりをしばらくしていたが、俺は男を外で待たしているのを思い出して、「話つけてくる」とだけ彼女に言って外に出た。
男は、アパートの駐車場で待っていた。
俺「彼女は俺と別れたくないって言っているけど、お前はどうしたい?」
男「すいませんでした。彼女がそう言っているのなら、俺は謝ることしか出来ません」
俺「本当はぶん殴ってやりたいけど、そんなことしても自分が惨めなだけだから、とっとと消えてくれ。俺と彼女が付き合っている内は俺と彼女の前に二度と姿を見せるな」
男「分かりました。すいませんでした」
男を帰した後、部屋に戻ると、相変わらず彼女は泣いていた。
俺はもうどうでもいい気持ちになり、彼女の下着を剥ぎ取った。
そして、側に落ちていたローションを自分のものに塗って、何も言わずに彼女の股を開いて一気に挿入した。
無言で突きまくる俺。
下で泣きながらごめんなさいを繰り返す彼女。
俺はさっきまで、違う男のモノがここに入っていたのかと思うと、異常に興奮し、それこそ2、3分で彼女の中にぶちまけた。
彼女はいつもゴムを痛がるので、生ではやっていたが、中出ししたのは、その時が初めてだった。
「子どもが出来たら堕ろせよ。誰の子どもか分からないから」と言って自分のモノをティッシュで拭いて、隣の部屋にあるゴミ箱に捨てにいった。
するとさっきの男との後始末をしたティッシュが、ゴミ箱には大量にあった。
やはりゴムは使っていなかったようだった。
それを見たとき、また俺の中のどす黒い感情が沸きだしてきて、彼女の元に戻り、俺の精子でぐちゃぐちゃの彼女の中に再びぶち込んだ。
今度は30分ぐらい突きまくった。
彼女は、やはり泣きながら、「好き」と「ごめんなさい」を繰り返していた。
2発目も彼女の中で出した。
本当は、やるだけやったら、さよならと言って帰るつもりだった。
それが最高の復讐だと思ったから。
でも、これだけ長い時間謝られ続けると、それは3年間同棲してきた相手、情が湧いてきて、このままにして帰るのはあまりに後味が悪いと思ってしまい、最後の想い出にと思い「動物園、行く?」と聞いてしまった。
すると、彼女は泣きはらした目で満面の笑みを浮かべ「うん」と答えた。
「動物園、行く?」の一言が無ければ、おそらくこのまま別れていたと思う。
結局この一言がきっかけで、愛情?友情?家族としての情?
色々な理由はあったと思うが、彼女は今でも俺の隣にいる。
この後の話は、面白くも何ともないので、簡単に書くが、一時はそれは酷かった。
別れはしなかったが、彼女のことを全く信じられなくなり、常に彼女の日記や携帯をチェック、PCメールもチェック。
飲みに行くときは、こまめに連絡を入れさせ、門限は11時。
俺は精神的に不安定になり、常にイライラ。
それでも、彼女はいつも我慢していた。
今でも俺は彼女のことを100%信頼しきっているわけではないかもしれない。
それでも、その時以上に絆という意味では深まった気がする。
これからも、この疑心暗鬼というのは完全に消えることはないと思うが、その気持ちは、墓場まで持っていこうと思い、もうすぐ彼女と結婚する。
まぁ人生そんな感じなのかな(笑)
おわり。