これは約10年前大学時代に体験した忘れられない出来事。
忘れたい出来事でもあるけど。今でもたまに現実だったか迷う事がある。
でも消せない事実。
当時20歳ちょっとの大学3年生だった自分と、同学年の親友の広瀬。
高校時代から友達で、恥ずかしながらまだお互い童貞だった。
俺はどこにでもいる普通の大学生で、顔も何もかも普通で、ただ恋愛には奥手だった。
でも友人広瀬は高校のミスターコンテストで他薦で優勝する位顔が綺麗で、
正直なんで童貞やってるのか不思議な位だった。
あ、不思議な位だったなんて書いたけど、その理由は分かってた。
広瀬が高望みで、しかも俺と同じ恋愛に奥手な一面を持っているからだった。
そんな広瀬とは価値観も凄く合うし、性格も良い奴だったから、普段からつるんでた。
高校時代と同じで、大学に入ってからも広瀬は女性に告白され続けた。
妬ましい部分も多々あったけど、広瀬の性格の良さがそれを打ち消してた。
で、そんな俺達の最大の共通点が好きな女性が一緒だと言う事だった。
一つ後輩の女性美里。今思い出してもかわいい。すごくかわいかった。
髪は長め、目とか口とかのパーツが大きかった。
だから笑った顔と真面目な顔の時の表情の差があって、それが好きだった。
身長は168位だっただろうか？ちょっと高めだったと思う。
だから美里について話す時一番盛り上がった。
あいつのあの表情が良いとか、話し方が良いとか、
彼氏がいるのかいないのかとか、最後には決まってシモネタで終わってた。
そんな感じで過ごしてたある日、ちょっとうれしい出来事があった。
美里の友達で寛子って女が広瀬を好きになったらしく、俺に4人の少数合コンを開いてくれ、と頼まれた。俺はさっそく広瀬に伝えて、相談し、承諾の連絡を寛子に伝えた。
ちなみにその合コンは、一人暮らしにしては少し広い場所を借りてた広瀬の家になった。
まぁ、今思うと合コンて言うより、ただの飲み会に近い感じだったかもしれない。
一応寛子とは知り合いだったわけだし。
そんな感じで当日が来た。
美里以外は皆顔を知っていたため、最初から楽しく馬鹿な話で盛り上がりながら
飲み会は進んだ。定番の合コンゲームとかしたりもしてた。
その中で、ハズレクジを引いたら暴露話みたいなのがあって、
結局何度もやったため皆ハズレクジを引いて、それぞれ暴露しあってた。
広瀬と俺は普段は隠してたんだけど酔ってたし「童貞でーす」みたいなノリで暴露。
最初は広瀬が童貞だなんて信じてなかった寛子だったけど、最後は何故か信じてた。
俺に関しては童貞だったと言っても普通に信じていてちょっと悲しかった。
ちなみにその寛子は最近胸がちょっと大きくなりました、みたいな当たり障りの
ない、ちょっと広瀬にアピールを含めた暴露だっのが印象的だった。
美里の暴露に関しては俺も広瀬も平気そうな顔をして、かなり真剣に聞いてた。
ただその暴露はちょっと楽しく、それでいて俺を興奮させるものだった。
美里が言うには、高校の頃に初めて付き合った男の人がデート初日に公園でいきなり
襲ってきて、それにビックリして、思いっきり股間を蹴り上げたそうだ。
しかも膝蹴り。それで相手がうずくまってしまって、あわてて逃げて帰って来て、
そのまま別れたそうで。それ以来何となく彼氏を作る機会を逃してると。
それを聞いて俺は「処女かも！」と興奮。童貞の悲しい性。
その隣では広瀬も「処女かも！」と同じように興奮してたと思う。多分だけど。
そんな感じで飲み会も盛り上がり、皆飲み潰れて、結局全員泊まった。
翌朝になって、皆が起床して、それぞれ昨日の余韻が残ったまま、
それぞれシャワーを浴びたり、歯を磨いたりしてた。
起きたのが遅かったので、もう講義には間に合わないと思ったけど、
一応ここで解散する事になって、全員帰宅しようという事になった。
で、帰宅。俺と寛子が同じ方向のため、ダベリながら歩いてた。
美里は方向が違うため、残念だけど、広瀬の家の前で別れた。
寛子が昨日は広瀬にもっとアピールしようとしたけど、飲みすぎて失敗した
とかそういう話を俺は笑いながら聞いてた。俺ももっと美里にアピールすれば
良かったかなとか、ちょっと後悔しながら歩き続けた。
と、その時自分のポケットをまさぐると、財布が無い事に気づいた。
あれには家のかぎが入ってるので絶対に必要だった。
寛子にごめんと告げて、急いで広瀬の家に行った。
広瀬の家について、チャイムを押したが出てこない。
不思議に思って、悪いと思ったがドアを開けてみた。そしたら開いた。
中に入って見ると誰もいなくて、コンビニでも行ったなと思い、財布を捜した。とその時、
玄関の方でドアが開く音がして、二人位の話し声と共に誰かが入ってきた。
俺は一瞬ビックリして、クローゼットに隠れた。
あれ？ここって広瀬の家だよな？何で二人？部屋間違った？とか、
いろいろ考えたが、どう考えてもここは広瀬の家だった。
で、俺がいたのは昨日泊まった広瀬の寝室。そこのクローゼットに隠れた。
そうこうしてると、隣のリビングから広瀬の声と女性の声が聞こえてきて、気づいた。
そうだ女性の声はは美里の声だ。俺はいろんな疑問が浮かんで来た。
何で広瀬と美里が一緒にいるんだ？さっき美里帰ったよなぁ？など。
このまま普通に出て行って、財布捜してたと正直に言うべきじゃないか？
と思ったが、出る勇気がその時は出なかった。
きっと美里も忘れ物か何かして戻ってきたんだから、すぐ帰るだろうと
楽観的に考えてじっと待ってた。帰った後は、広瀬を驚かす感じで、出て行けばいいと。
で、そこから20分位たって、ようやく隣の話し声が途絶えてた。
ふーやっと終わったと思って、安心してると、「ガチャ」っと寝室のドアが開いた。
俺は一気に冷や汗が吹き出た。何で寝室に入って来た？美里帰らないのか？
その時最悪な展開が頭をよぎった。俺が黙って家に入ったのがばれるとか
そんな小さな事なんか吹き飛ぶ位の最悪な出来事が。
そのままもういろんな事が怖くて、ちょっと震えてた俺は、
クローゼットの中でただうずくまってた。
しかし、そんな俺の感情を逆なでするように、その音は聞こえてきた。
「チャプ、チュ、チュプ・・」
もう確信に近いものがあったが、我慢出来ずにクローゼットをそっと開け、
隙間からベットの方を見た。
そこには案の定、激しくキスをする二人の姿があった。
軽く広瀬は美里の胸を触ってた。
とその時広瀬が美里の上着を脱がそうとしてたのが見えた。そして美里が
「あの、分かってるかも知れないけど、初めてだから・・・」と。
広瀬も「俺もだけどね・・・はは・・」と二人で見つめ合って照れ臭そうに笑った。
その後広瀬は上着を脱がし、美里の胸を触り始めた。俺が女性の胸を初めて生で見たのが
その時だった。異常なくらいの空しさと悲しさと悔しさと、そして興奮が俺を包んだ。
もう何が何だか分からず、その光景をただ黙って見てた。正直ちょっと泣いてた。
悲しいのか何だか良く分からなかった。
その後ももちろん俺の気持ちなんて知る由もない広瀬は美里のスカートと下着に
手をかけた。美里が「何か恥ずかしいよ・・」と言ってた。
広瀬はかなり呼吸が荒くってて、ちょっと震えてたかも知れない。
そして、広瀬は美里のスカートと下着を脱がした。
俺の場所からは美里のその部分がはっきりと見えた。見えてしまった。
思ったより毛が少なかった。ただちょっとグロテスクだと思った。
そして、その部分に広瀬が口をつけた。
広瀬はただひたすら舐めてた。ふとももを抱え込んでその部分をずっと。
美里は初めて舐められる感覚に戸惑って、目をつぶって、耐えてる感じだった。
俺はその時になるともう悲しさとか悔しさとか通り越して、
廃人みたいになってた。でも悲しい事に興奮して勃起はしてた。
ただオナニーをする気にもならなかった。それ以上に目の前の現実が怖かった。
俺達が普段、シモネタとして、まるで想像の産物のように話してた、
女性との肌の接触。それを広瀬は今目の前で行っている。広瀬の好きな女に。
そして俺の最愛の人に。
そしてその恐れていた瞬間が当たり前のようにやってきた。
広瀬が服を脱いだ。もう俺と同じように、それ以上に勃起してた。
それを見て美里が少し驚き「それ入るのかなぁ・・」と言った。
「多分大丈夫だよ。痛かったら言って」と広瀬も答えた。
この時広瀬は興奮で声が震えた。ただその時美里がさらに続けた。
「ゴム・・ある？」広瀬は「あ・・・いや、ちょっと今無い・・」と。
少し沈黙が続いた。俺はこの時正直ほんの少しだけ安堵した。
このまま終わってくれ。たのむ終わってくれ。
廃人から、少し人間らしさが戻った俺は、必死にそう祈った。もう祈った。
ひたすら祈った。
そして、俺のその願いは美里の声で断たれた。
「・・外で出せばいいかな・・？まずいかな？」
広瀬は「美里がそれでいいなら、俺はしたい」とこの時ははっきりと言った。
「・・うん分かった。でも好きだからするんだよ。それは分かって欲しいよ・・」と。
広瀬は「もちろん」と言ってすぐ、美里に激しくキスをした。
そして、一通りまた体を触り、アソコに口をつけ、広瀬は勃起した自分のモノを
彼女のその部分にゆっくり、本当にゆっくりと入れた。
美里がたまに痛いというと少し、止まり、また入れ始める。それを繰り返し、
そして、全て挿入された。俺はまた廃人のようになり、
自分でも気持ち悪いと思ったが、また泣きながら、その光景を黙って見てた。
広瀬はもう言葉を発さなくなり、ただ腰を振りながら、たまに気づいたように
美里の唇と吸い、胸を触り、ただひたすら腰を振ってた。
美里は「うっ」っとたまに痛そうに呻き声を上げたけど、広瀬はそれを知ってか知らずか
それでも腰を振り続けた。
俺はその時いろんな事が頭をよぎった。
同じ大学の大学生で、童貞で、同じ女が好きで、恋愛に奥手で、
俺は広瀬にとても同じ匂いを感じ、今まで親友として過ごしてきて、
まるで同等のように接して来たけど、こいつはミスターコンテストで優勝するくらい
美形で、今まで腐るほど女を振ってきた男だ。
良く考えれば、美里が広瀬を好きになる確率の方が圧倒的に高いじゃないか。
俺はその時初めて広瀬との絶望的な差を気づいた。同じじゃない。
向こうは希望ある童貞だった。俺はただの童貞だ。ずっと広瀬と親友として過ごし、
お互い将来結婚でもして、笑いあえる日がずっと続くと思っていたけど、
同じ女を好きになった時点で気づくべきだった。
俺はその時、最愛の人も親友も失った事を確信した。もう涙も出なかった。
そんな事を思い、もう落ちるとこまで落ちてる俺に気づくことなく、
広瀬は最後の力で腰を振り、その勢いで自分のモノを抜いた。そして、
美里のお腹に射精した。射精した精液がお腹に付いた瞬間
美里が「あっ」と言いながらビクッとした。
二人は事が終わると、裸で抱き合ったり、キスしたり、笑いあったり、
しばらくそのまま過ごしていた。
もうその時俺は絶望感しかなく、何もかもどうでも良かった。
二人が笑いあう寝室に俺はドアを開け、普通に出て行った。
出て行った直後、広瀬と美里は固まり、そしてすぐ二人で布団を急いで肩からかぶせた。
「え、え、何？どういう事？は？お前なんでいるの？」とそんな感じで広瀬は焦っていた。
美里は固まったまま、呆然としていた。
そんな二人を尻目に俺は普通に寝室を出て、玄関を出た。
もしかしたら広瀬が追ってくるかもとかすかに思っていたが、追ってはこなかった。
逆に安心した自分がいた。
その後は、ただボーっと歩き家の前についた。
俺はポケットをまさぐって、財布をまた忘れた事に気づいた。もう取りにはいけない。
俺はそのまましばらく玄関の前で座ってた。小銭で鍵屋を呼んだのは30分後だった。
それからは、自堕落な大学生活が続いた。
ただ過ぎてく日々。そこには恋人もなく、それを笑いあう親友もいない。
あの日から全部変わった俺の人生。もう戻れないし、どうする事も出来ない。
それからの俺は誰に恋する事もなく、適当に付き合った女性と結婚して今に至る。
最近、広瀬が美里とは違う女性と結婚したと、風の噂で聞いた。
