部下が隠してたバイブを見つけてしまった

嫁とは職場結婚というか元部下。
子供はまだなのだが、俺の残業が多くて家のことがほとんどできないので、寿退社のあとに派遣で勤めていた仕事もやめて、嫁は専業主婦をしている。
家事は掃除洗濯なんでもそれほど苦にならないようだけど、料理だけは苦手なので料理大好きの俺が休日はもっぱら作っている。
嫁は俺の職場の女性陣ともいまだに仲良いこともあって、時々我が家に集まって女子会とやらを開催している。
もちろん俺はキッチンで料理。

いつも我が家ばかりでは悪いからと、部下の女性の部屋で女子+1会をやることになった。
部下の女どもは4人いるが、みんな30代独身だ。
会場になったのは“4人の中で唯一料理が得意”という由香利のマンション。

嫁と一緒とはいえ、部下の独身女性の部屋に行くと言うので少し興味津々になっていた。
由香利の部屋は賃貸だが広めの2DKで、小奇麗というか機能的に片付いている感じで、あんまり女性っぽくない感じの部屋だった。

由香利は身長は165cmくらいかな?
スレンダーで、雰囲気としてはドラマの『ホタル』のヒカリに出ていた山田姐さん・・って判るかな、そんな感じ。
性格はキツめというか全般的にユニセックスな感じで、料理好きっていうのが意外に感じるタイプだったが、部屋はなるほど由香利らしいかなと思った。

俺は学生時代のアルバイトが元で料理を始めたので洋食専門だが、由香利はイメージと違って和食というか、おふくろの味っぽい感じの煮物とか、お浸しとか作っているのが意外だった。
料理もできてルックスもそこそこだし、性格だってサバザバしているのに男が居ないっていうのはどうしてなのかなとも思う。
ただ料理を作っているとキッチンにいる時間が長くて、他の女どもが「料理はいいからこっちにきて飲みなよ」とか言っている。
由香利はそう言われても準備していたものは全部出さないと気が済まないらしい(俺もその気持ちはよく判る)。

それで結局は俺が手伝うことになった。
こっちも部下3人と嫁と一緒に座って飲んでるより、キッチンを手伝っていたほうが気が楽だ。

「ありがとうございます」とか言われながら手伝っていると、食卓の酔っぱらいから「奥さんより仲良くしちゃだめだよ~」などというけしからない冷やかしが飛ぶ。

それに動揺したわけではないが・・・。

「イタッ」



包丁でやっちまった。
大して深い傷ではなさそうだが、傷テープでも貼らないと血が止まりそうもない。

由香利はちょうど揚げ物をやっていたので、「自分で取りに行くからいいよ、薬箱どこ?」と聞くと、「そこのドア入ってベッドのところの棚にあるから」と。

ベッドルームに入るのにちょっと気が引けたが、意識しすきでもしょうがないと思って入って行って、ベッド脇の引き出しみたいなやつを「これかな?」と思って開けたら・・・。

そこには存在感たっぷりの本物そっくりな形状のピンクのバイブレーターが!

(えっ・・・?)

驚くというか、呆気に取られて固まっていたら、由香利が様子を見に入ってきた。

「ああそこじゃなくて・・」

・・・と言いかけて、さあっ~と由香利の顔から血の気が引いていくのがわかった。
赤くなるんじゃなくて青くなるんだな、ああいうとき。

「早く閉めて」

そう言われて、ハッと気がついて引き出しを閉めたけれど、気まずさはどうしようもない感じ。
向こうも「見た?」とか聞かないし、こちらも何も言わないけれど、お互いに判っている。
無言で傷テープを受け取って貼ってからキッチンに戻ったが・・・。

「もう手伝いは大丈夫ですから、向こうでみんなと一緒に飲んでいてください」

そう言われて、こっちも気まずいので戻った。
周りは全く気づいてなかったようだけど、それから一回も由香利とは目を合さなかった。

週明けに会社で会うと、目が合った瞬間に物凄く恥ずかしそうな顔をしたのが、いつものボーイッシュな雰囲気とのギャップで相当可愛かった。

「あれ、カオリ(嫁)にも言わないでくださいね」

「あれって?なんだったなあ?飲んでたし忘れっぽいから何も覚えてないや」

そう言ったら、なんか涙目っぽくなってちょこんと頭を下げて席に戻っていった。

嫁の同僚なので絶対に手は出せないんだけど、どうしても由香利を見ると頭の中で、“あの結構立派なバイブで・・・”と、あらぬ妄想をしてしまう。
由香利には避けられそうだなと思っていたら、その日だけはなんとなくそんな感じもあったけど、すぐに元通り、何も気にしていないような感じになったのはさすがに30女かな。

一度だけ「想像してるでしょ」って小さな声で訊かれたので、「まあたまには」って答えたら、嫌な顔するかと思ったら、小さく笑っていた。

早く男を見つければいいのに、勿体無い。